Bega Cheese「Night Cheese」——“夜の食行動”という新市場の開拓
オーストラリアの食品企業Begaが展開した「Night Cheese」は、夜の食シーンを新たな市場として開拓する取り組みである。
広告の中心にあるのは、“深夜に冷蔵庫を開けてチーズをつまむ”という普遍的な瞬間だ。一見すると小さなアイデアだが、ここには重要な戦略のシフトがある。従来のチーズ広告は朝食やランチ用の料理シーンが主流だった。しかし、Begaは自社調査を通じて、深夜のスナッキング需要が実際に増えていることを確認し、夜という時間帯そのものをプロダクト文脈として獲得しにいった。
この“時間帯ポジショニング”は日本企業でも応用しやすい。コンビニフードや菓子、冷凍食品など、夜間需要の高いカテゴリーは多い。特に夏は夕食時間が遅くなり、冬は夜の滞在時間が自然と延びる。そこに合わせて、“夜にぴったりの食品”“夜の満足感”をブランドが定義できれば、新しい需要が作れる。夜の行動データを手がかりにプロダクトの文脈を作り直す発想は、今後日本でも確実に求められるだろう。
Morrisons「After Dark Ads」——闇を味方につける、夜専用クリエイティブ
英国スーパーマーケットMorrisonsが展開した「After Dark Ads」は、夜になるとクリエイティブが変化するOOHキャンペーンである。
仕組みはデジタルOOHやライトセンサーを利用し、日中は通常の食品広告、夜間はホラー演出が浮かび上がる(炎、幽霊の手、影など)という二段階構造になっている。
重要なのは「OOHの価値は夜に最大化する」という考え方をクリエイティブの起点にしている点だ。夜間の光と影は都市の質感を大きく変え、クリエイティブをより“世界観のあるもの”として見せやすい。屋外広告は昼間の視認性を起点に考えがちだが、夜こそブランドの印象が強く残る。これは冬のイルミネーション期だけでなく、夏の夜間体験とも相性が良い。
日本でも、夜限定で広告が変化するOOH、夜の光と連動する商業施設外壁の演出など、多くの応用が可能である。見せ方を変えるだけで、夜間の消費者体験にブランドの存在感を残せる。
