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アプリ広告の効果計測、今のままで大丈夫?「ラストタッチ」に偏らない、これからの評価手法とは

 アプリ広告の効果計測として、いまだ「ラストタッチ」を基準とした評価指標が使われることは多い。しかし、ラストタッチアトリビューションのみで広告効果を正しく計測・評価できているといえるのだろうか。2025年12月、UNICORN、MetricWorks Japan、Metaの3社は「アプリ広告の常識を覆す! 事業を成長に導く新たな評価方法とは?」と題したイベントを共催。アプリ広告の効果計測における課題や、より正確な計測の実現をテーマとしたセッションを通して、これからのアプリマーケティングに求められる考え方と評価手法が参加者に共有された。本記事では、一部セッションを抜粋して紹介する。

アプリ広告の効果計測を取り巻く課題

 Meta東京オフィスでリアル開催された本イベントは、ユーザー一人ひとりの行動の多様化や流入経路の複雑化が進む現状を踏まえ、より適切なアプリ広告の評価手法を再考する場となった。「脱・ラストタッチCPI」をキーワードに、最新の市場環境を反映した効果測定をいかに実現するかが、各セッションを通してアプリ事業に携わるマーケター・担当者に共有された。

 はじめにUNICORNの須藤恵輔氏とFacebook JapanのEllie Lee氏が、アプリ広告の効果計測・評価における現状と課題、そして今後考えていくべきことを語った。

 まずアプリ広告では、正確な効果計測が非常に難しいことが課題となっている。計測の指標にはラストタッチアトリビューションが使われることが多い。だが、直接CV(クリックスルーCV)ではこの評価の起点となるクリックがユーザーの意思によるものか、誤クリックによるものか判断ができない。間接CV(ビュースルーCV)においても、どう表示された広告か、ユーザーに適切に見られているのかなどが可視化できず、態度変容を測ることは困難となる。

 また、元々アプリをインストールするつもりだった人に表示された分など、広告の効果が過剰評価されている面もある。広告効果を高く見せるために、誤クリックの誘発や、過度なビュースルーの発生をさせるなどのアトリビューションをハックするような手法が使われている場合も存在する。さらにiOSのオプトアウト設定によって、約59%のインタラクションデータが欠落しているという調査結果もあり、データの正確性に欠けると言える。

 それらに加えて、効果を測定するソリューションやメニューによって計測指標の定義がバラバラだったり、アトリビューションの内容によって判定の優先順位が異なったりするなど、広告効果を同じ基準で計測・比較できない課題があるのだ。

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 「CPI向上を目標にすると、広告効果を高く見せるアトリビューションのハックや不正確なデータによって、実際は効果の高くないところに誤って投資してしまうリスクがあります。アプリ広告が事業成長に貢献できているのか、ROI視点で見ることが大切です」(須藤氏)

 正確な効果を計測する方法の一例として、広告の非接触者と接触者を比較することでコンバージョンリフトを測り、インクリメンタリティ(広告によるユーザーの純増)を指標にすることが挙げられる。また、統計学を用いてアプリ広告の貢献度を測るMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)という方法もある。

 Ellie氏は「一つですべてを計測できる万能なツールは今のところ存在しません。ツールや手法ごとに得手・不得手があるため、複数を組み合わせて使っていくことが重要です」と、インクリメンタリティリフトの計測、ラストアトリビューションモデルによる計測、統計学を用いMMMを活用した効果計測、それぞれの強みを相互に活かしお互いの不足を補完し合うことが重要とした。

ラストタッチアトリビューションモデルのみでの評価への懸念

 「MMPとMMMの理想的な融合、『次世代の広告効果検証PDCA』」と題したセッションでは、サイバーエージェントでゲームアプリのマーケティングを手掛ける家門真明氏が登壇。同社を支援するMetricWorks Japanの神田佑貴氏とともに、アプリ広告における現状の課題を踏まえ、チャレンジしている取り組みについて紹介した。

 家門氏も、ラストタッチアトリビューションモデルでの評価によるアプリ広告の計測に課題を感じているという。たとえば、iOSがオプトアウトされるようになったことでデータが取りづらくなり、広告計測ツールで獲得したとされるコンバージョンを合算すると実際の獲得数をオーバーすることがあった。また、広告配信先として、Webサイトに比べてアプリメディアの効果が何十倍も良く出ることがある。サービスとの親和性が高いと考えられると想定したWebメディアよりも、あまり知られていないクーポンアプリで効果が高く出たことで、不審に感じることもあった。

株式会社サイバーエージェント ゲーム事業部 アドストラテジー室室長 家門真明氏
株式会社サイバーエージェント ゲーム事業部 アドストラテジー室室長 家門 真明氏

 「とある配信メニューのラストタッチアトリビューションモデルでの計測評価と、アプリストアによる実際の計測結果との比較では、170倍ほどの差が出る配信メディアがありました。計測ミスの可能性も疑いましたが、別の場所でも同じような結果が出たため、やはりラストタッチアトリビューションモデルはハックされやすい指標だと考えられます」(家門氏)

 現在は、より確度の高い計測を実現できるように様々なチャレンジを続けているという。

信頼性の高い計測環境をいかに構築するか?サイバーエージェントの事例に学ぶ

 では、家門氏らは、どのようにしてアプリ広告の効果をより適切に計測しようとしたのか。セッションでは、サイバーエージェントの子会社であるApplibotで実施した取り組みが紹介された。まずは、アプリ広告の計測が問題であることから、LPを挟んで計測するフローに変更。これにより、どの媒体やネットワークも同じ評価基準で比較し、最適化することが可能となった。

 LPを挟むことで導線が増えるため、当初は「コンバージョンが落ちるのではないか」との懸念も挙げられた。しかし、ハックされた広告効果によって実態と乖離した配信を続けるほうが不適切と家門氏は考えた。実際に、通常配信と比較して大きく変わらなかったことから、その有効性も示された。

 同社ではLPに加えて、iOSアプリを配信するApp Store Connectの分析ツール「App Analytics」の数値を指標にしている。正確なインストール数がわかることから、直接効果を計測できるのだ。

 さらに、どのようなキーワードでストア検索されダウンロードに至ったかがわかり、間接効果も把握できる。それらの数値とどの媒体に広告配信をした時の結果なのかを掛け合わせることで、媒体の特徴も見えてくる。

3つの手法を組み合わせ、広告効果を計測

 とはいえ、App Analyticsだけでは間接効果を定量化するのは難しい。そこで、MMMと検証機能を組み合わせた評価プラットフォーム「MetricWorksを活用。実際にどのようなことができるのか、MetricWorks Japanの神田氏が解説した。

 MetricWorksでは、統計学を用いたMMMでインクリメンタリティを計測。配信量やコスト、アプリのKPI、App Storeでのダウンロード数など、過去1年分のデータを入れるとグラフが示される。その中で相関性のあるものに評価を割り戻すというモデルになっており、間接効果も評価できる点が強みだ。

 「MMMは、人力でできないことはありませんが、専門的なナレッジや膨大な工数が必要となります。MetricWorksを使うことで、評価・分析作業における工数の大幅な削減になり、分析作業が属人化するリスクも避けられます」(神田氏)

MetricWorks Japan株式会社 CEO 神田佑貴氏
MetricWorks Japan株式会社 CEO 神田 佑貴氏

 家門氏も、「MetricWorksを導入したことで、一瞬でデータ抽出などができた」と語る。加えて、App Storeと違って詳細なデータが見られないGoogle Playの分析ができる点も、MetricWorksのメリットだという。

 Applibotの事例では、LPを挟んだ配信でメニュー間での計測条件を統一した結果の確認、アプリストア Analyticsのデータの確認、MetricWorksによるインクリメンタリティ分析による結果の確認の3手法を組み合わせて評価するチャレンジの話がされ、その結果に手応えを感じているという。神田氏と家門氏は、一つの計測手法だけで判断せず、様々なトライを続けていくことが大切だと述べた。また家門氏は、マーケターとして外部のツールの結果を信用しすぎず、まずは内部にある一次データを大事にすべきだとした。

「計測結果のよい広告枠」が、本当に事業成長に寄与しているのか

 最後に「事業成長に繋がる広告配信とは?」というテーマのセッションに、UNICORNの豊田晃大氏が登壇。イベントにおいてここまでは計測・評価の方法について語られてきたが、豊田氏は広告の「配信方法」にフォーカスした。

UNICORN株式会社 App Marketing Div Vice General Manager 豊田晃大氏
UNICORN株式会社 App Marketing Div Vice General Manager 豊田 晃大氏

 オフライン広告では、いかにその出稿場所がターゲットとなるユーザーの目に触れるかが重視され、多くの人の目に触れやすい場所ほど広告枠の価格は高くなる。しかし、オープンインターネットでは、小さな広告枠の効果が高く出る場合がある。

 オープンインターネットには様々な広告枠があるが、その中でも、320×50の小さな枠はアプリメディアの広告在庫の8割を占める。在庫が潤沢なため配信ボリュームが出やすく、CPMも安価だ。またラストタッチアトリビューションモデルでは、アプリメディアはWebメディアと異なりユーザーの広告ID取得が可能なため、計測上優先判定されやすい構造にある。これにより、この評価モデルではアプリメディアが「成果に貢献した」と判定されやすくなる。その結果、安価な配信単価と相まって、これらの広告効果のパフォーマンス数値は実態よりも高く出がちだ。

 しかし、そのような結果に基づいて投資しても、実はあまり効果がない枠で費用対効果を下げてしまう恐れがあると豊田氏は指摘した。

効果の高い広告枠に出稿し、事業成長へとつなげる

 アプリ広告を適切に事業成長へつなげるには、ユーザーに見られやすい広告枠に出稿することが大切だ。広告がどの程度視認されているかという指標は「Attention View」と呼ばれ、注目され始めている。

 UNICORNでは、広告アテンション計測のリーディングカンパニーであるLumenと協業し、どのような広告枠が見られやすいか視認性の計測を行った。その結果、インライン広告は視認性の低い固定枠の3倍見られている時間が長く、高アテンション枠(画面占有率の高い枠)と低アテンション枠(画面占有率の低い枠)ではクリックスルーコンバージョンの発生割合が約6倍も違うことがわかった。

 「クリックスルーコンバージョンの80%がクリックから1時間以内に発生するというデータがあることから、UNICORNでは1時間以内のコンバージョンを効果が高いものと定義しています。さらに、高アテンション枠であるほど1時間以内のコンバージョン発生割合が高いというデータも出ています。それにより、ユーザーに見られやすい広告は、サービスの認知や利用率を増やす貢献度が高いと言えます」(豊田氏)

 また、高アテンション枠のインライン枠では、コーザルインパクト(Googleが開発した、広告施策が時間の経過とともにKPIにどのような影響を与えるかを推定する手法)においても、有意な効果が出ている。UNICORNでは、この手法をどの広告枠がコンバージョンに最もリフトしたのか検証するのに利用しており、高アテンション枠は低アテンション枠の約3倍リフト効果があることが示された。他にも、視認性の違いがリテンションレートに大きく関わるというデータもある。

 効果の出やすい広告枠へ確実に出稿できるよう、UNICORNでは「Attention First Network」というソリューションを提供している。これにより、視認性の高い枠だけを買い付けることができる。質の高いメディアのネイティブ広告の中でもハイクオリティな広告在庫を揃えた「Premium In-Feed」、オープンインターネットの無数の広告枠の中から厳選した枠を揃えた「Premium Inline」への出稿が可能だ。

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 「広告は見られてこそ価値を発揮するもの。視認性の高い枠に出稿することで、事業成長につなげていただけると思います」と述べ、豊田氏はセッションを締めくくった。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:UNICORN株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/02/05 10:00 https://markezine.jp/article/detail/50233