SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Spring

Human-Centered AI:効率化の“その先”へ(AD)

人の創造性を、拡張する。博報堂DYグループ「AI-POWERED CREATIVITY」の真価

 AIが世界を席巻して約3年。北米ではAI投資の増大により、大規模な人員削減が行われるなか、改めて問われているのが「人間はAIに使われるのか、それとも使いこなすのか」という点だ。そんな時代において、「Human-Centered AI」を掲げ、AIを単なる「効率化の道具」ではなく「共創パートナー」と位置づけ、その活用を推進しているのが博報堂DYグループだ。そんな同社が考えるAIとの共創の未来について、博報堂DYホールディングス 代表取締役社長の西山泰央氏が語った。

効率化か、それとも人間拡張か──AIが突きつける分岐点

 2022年後半以降、爆発的に普及した生成AI。説明文から画像を作成する「Midjourney」や、大規模言語モデル(LLM)を使った対話型の生成AIサービスの「ChatGPT」が瞬く間に世界に広がり、創作活動はもちろん、業務改革や効率化に向け一気に導入が進んだ。2025年はAI技術がさらに進化し、特定の専門業務を担うAIエージェント(エージェンティックAI)が登場して、AI活用は今後もさらに広がっていくと見られている。

 こうしたなか、「生活者を真ん中においたAIテクノロジーを。」というコンセプトの下、「Human-Centered AI」という哲学を基にAI活用を推進しているのが博報堂DYグループだ。

 2025年12月2日〜4日に都内で開催された「ADVERTISING WEEK ASIA」に登壇した博報堂DYホールディングス 代表取締役社長の西山泰央氏は、「AI-Powered Creativity:AIと、価値ある未来をデザインする」と題する講演のなかで、この哲学について次のように説明した。

 「この“Human-Centered AI”は単なるスローガンではありません。北米では、AI投資を拡大する一方、大規模な人員削減が続けられており、私たちは『人間がAIに使われるのか、使いこなすことができるのか』という分岐点に立たされています。そうしたなか、私たち博報堂DYグループはAIについて『単なる効率化の道具ではなく、人間の可能性を拡張する共創パートナーであり、使いこなすことができるものとして向き合っていこう』と明確に決めました。そのスタートとして、私たちがどのようなビジョンの下、どのような取り組みを行っているのかを紹介したいと思います」(西山氏)

株式会社博報堂DYホールディングス 代表取締役社長 西山 泰央氏
株式会社博報堂DYホールディングス 代表取締役社長 西山 泰央氏

博報堂DYグループの“Human-Centered AI”を具現化した「バーチャル生活者」

 ADVERTISING WEEK ASIAのテーマは、「Creativity excites Industries(創造性が産業を盛り上げる)」だ。西山氏はこの言葉に深く共感したという。

 「あらゆる産業モデルが刷新されつつある現在、『AIは人間のクリエイティビティを本当に拡張できるのか』という問いは避けて通れません。この問いを、ぜひ広告業界、そしてすべてのリーダーとともに考えていきたいと思い、『AIと、価値ある未来をデザインする』という講演テーマを定めました」(西山氏)

 そんな博報堂DYグループが、同社の哲学である“Human-Centered AI”を具現化したものが、2025年11月に発表された「バーチャル生活者」だ。バーチャル生活者とは、これまで同社が蓄積してきた膨大な生活者データと日々アップデートされるデータをAIに学習させ、バーチャル上の“人格”として再現したソリューションだ。

画像を説明するテキストなくても可
博報堂DYグループが開発した「バーチャル生活者」(クリックすると拡大します)

 「これにより、当社の社員は、PCを開けば『いつでも本音が聞ける生活者』と対話できる環境を手に入れました」と西山氏。これまでのデータ分析やペルソナ作成の限界を超え、社内で日常的、かつ瞬時にマーケティングにおける「生活者発想」を実現する革新的な一歩であり、博報堂DYグループではそんな新しい世界がスタートしているという。

AIが迫る「クリエイティビティの再定義」。無限の拡張をどう使うか

 そんなAI時代の到来にともない、改めて考えたいのが「クリエイティビティ」の再定義だ。これまでクリエイティビティ(創造性)といえば、独自性の高い新しい発想を生み出す能力と認識されてきた。一方、今日ではAIの台頭により、クリエイティビティを無限に増殖・分配・循環させることが可能になった。

 西山氏は、この現象を「『新しい資本』として捉えるべきではないか」と提唱する。その上で、「この新しい資本を使い、より難しい社会課題の解決や、新たな産業創造に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

 そこで考えるべきは、このAIによってもたらされる新しいクリエイティビティという資本をどう活用していくかだ。博報堂DYグループが目指すのは、企業・産業の枠を超え、新しい資本を社会全体で活用できる「クリエイティビティ・プラットフォーム」を開放することだという。

 クリエイティビティ・プラットフォームとは、生活者を起点としたクリエイティビティをエッジに、生活者・企業・社会をつなぎ、新たな関係価値を生み出すことで、未来を創造していくプラットフォーム(基盤)のことを指す。この実現に向けては、人の持つ創造性とAIの能力を掛け合わせ、企業や行政、スタートアップや生活者など社会を構成するあらゆる要素を連携し、「知や技術のオーケストレーション」を築くことが必要になる。社会のOSとも呼ぶべきこうした連携を強化することで、ますますその価値は向上すると期待できる。

画像を説明するテキストなくても可

 「単なる広告制作の効率化ではなく、社会変革や産業改革といった影響力の大きな領域の具現化へ取り組んでいくことが、私たちの挑戦です」(西山氏)

停滞を打破する「AI-POWERED CREATIVITY」——効率化の先にある価値ある社会へ

 なぜ変革が必要なのか。西山氏はその理由について、多くの企業や組織が過去の成功体験にとらわれる「内なる停滞」に陥っていることを指摘する。

 「私たち人間は、どうしても過去の成功体験に固執してしまいます。その過剰適応により、成功体験はいつしか硬直したルールとなり、それが新しい可能性を阻む壁となってしまいます。ですが日本には多くの素晴らしい技術と人材がいます。そうした素晴らしい人智を解き放つ“覚悟”こそ、今の私たちに必要なものです」(西山氏)

 その覚悟に火を付けるのがAIだ。西山氏は、AI時代に人間が担うべき資本は、「人間の内発的動機(アスピレーション)にある」と説き、「その内発的動機がすべてのスタートになる」と話す。

 内発的動機は、データや数字に基づくものではない。「こんな社会を作りたい」「こんな未来を作りたい」という思いそのものだ。自動化(Automation)はAIに任せ、人間はその先にある能力拡張(Augmentation)に集中し、自分の思いや内発的動機をAIとプラットフォームの力で社会を大きく動かすようなプロジェクトに昇華していく。これこそが、博報堂DYグループが目指す「AI-POWERED CREATIVITY」の本質的な姿だという。

画像を説明するテキストなくても可

 西山氏は最後に、「AI時代、クリエイティビティという資本の価値はかつてないほど高まる」と強調。「ぜひ、皆さまの内なる思い(アスピレーション)をこの『クリエイティビティ・プラットフォーム』という共創の場に持ち寄り、効率化の先にある『価値ある社会』と『未来』を共にデザインしていきましょう」と呼びかけ、講演を終えた。

AIを取り入れて制作した「ユーミンの最新アルバム」から学んだこと

 西山代表の講演後、音楽プロデューサーの松任谷正隆氏を迎え、西山氏、そして博報堂DYホールディングス 執行役員 Chief AI OfficerでHuman-Centered AI Institute代表の森正弥氏の鼎談が行われた。モデレーターは、PIVOT 代表取締役/CEOの佐々木紀彦氏が務めた。

画像を説明するテキストなくても可
(写真左から)PIVOT株式会社 代表取締役/CEO 佐々木 紀彦氏
株式会社博報堂DYホールディングス 代表取締役社長 西山 泰央氏
音楽プロデューサー 松任谷 正隆氏
株式会社博報堂DYホールディングス 執行役員 Chief AI Officer Human-Centered AI Institute代表 森 正弥氏

 松任谷氏は新しいテクノロジーに常に関心を持ち、興味があれば自分で試すことに積極的だという。2025年11月に発売された松任谷由実の最新アルバム『Wormhole/Yumi AraI』では、荒井由実時代からの数百のボーカルトラックを学ばせた音声合成ソフトによって再構築した歌声と今の生声をコラージュして制作したことで話題となった。

 そんな経験を経て、松任谷氏はAIによる創作の自由さと解放性、そして怖さを実感したという。

 松任谷氏が感じる「怖さ」とは、誰の声でもサンプリングされ、非常に高い再現度であらゆる人が使える時代が間近に迫っているという状況だ。この複製可能性により、クリエイティブの権利侵害はもちろん、創作活動にどのような影響をもたらすかは未知数だ。

 一方で、創作活動においては「解放」を感じることも多々あったという。AIによって再構築された声は、音域の制約から解放される。自分の声が拡張されることで、松任谷由実氏の曲作りの可能性が広がった。また、プリプロダクションの段階で声を入れることで、詞のイメージも広がり、制作工程に良い影響をもたらしたという。

画像を説明するテキストなくても可

 続けて松任谷氏は、AIと人間の創造活動の共創について、ポイントは人間が持つ「ミスプリント」や「非最適化」にあるという。効率性や最適解を求めるAIであれば、既定路線で“はみ出す”ことはないが、人間は創作活動で迷いやゆらぎが起きることで、それを起点に新しいものを生み出せる。

 これを受けて西山氏は、「人間の身体性や醸成する空気感と、AIとを掛け合わせることで、新しいイノベーションを量産できる時代を実際にこの目で見られる、本当に貴重な時代になる」と話す。

 最後に森氏は、「ビジネスの場においても同様に、効率化や改善だけでなく、クリエイティブ活動に欠かせないワクワク感をもってAIを活用することが大切」と総括。テクノロジーと人間性が響き合う未来への期待とともに、セッションは幕を閉じた。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社博報堂DYホールディングス

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/01/19 10:00 https://markezine.jp/article/detail/50261