「ソーシャルデータ=アンケートのおまけ」の誤解
本セッションのモデレーターを務めるMeltwater Japanの田中氏が、会場の参加者に「SNSのデータを日々の分析業務に使っているか」と尋ねると、多くの手が挙がる。しかし「そのデータを経営や戦略の意思決定に利用しているか」と問うと、手を挙げる人数は激減した。
そんな中、ネスレ日本の近藤氏は、ソーシャルデータやコンタクトセンターに集まる声といったVoC(Voice of Consumer)のデータを統合し、経営層やブランドマネージャーのビジネス課題解決をサポートする業務を担っている。VoCを収集する際は、対象を消費者という購買主体に限定せず、一人の生活者として捉え、その日常や価値観まで含めた声を重視。SNSやコンタクトセンターに集まる声を分析し、商品・サービス改善やマーケティング施策に活かしているという。
近藤氏によると「ソーシャルデータはアンケート調査を補完するおまけとして語られることが多いが、問いの立て方や分析の視点次第で、アンケート調査では捉えきれない発見を得られる」という。アンケート調査は実施するだけで数百万円の費用を要するが、ソーシャルデータの分析は安価にできる点もメリットだ。
ネスレ日本では、どのような場面でVoCの調査分析を行っているのか。「マーケティングのPDCAプロセスの、プランとチェックの段階で使っている」と近藤氏は語る。
「プランの課題を踏まえた上で、翌年以降の戦略を立てるために消費者のインサイトやトレンドの把握を行っています。また、チェックの部分では当年の商品およびプロモーションの反応を確認しながら関係者にフィードバックして改善するためにVoCを活用しています」(近藤氏)
その結果、ネスレ日本ではソーシャルデータの分析が、様々な施策効果の最大化や商談成立などの形でビジネスに貢献しているという。
検証したい仮説を定めよ
ソーシャルデータを活用している企業は多いものの、田中氏は「多くの企業が自社の商品を検索して、ポジ・ネガの把握、投稿件数の把握で終わってしまうため、データの説明性の低さに課題を感じている」と指摘。ネスレ日本のように、SNSのデータを意思決定のためのドライバーとするためにはどうすれば良いのか。
ここからは「ネスレ日本流のアプローチ」と題して、近藤氏が実践的なメソッドを解説。調査設計の重要な要素として「ビジネス背景・目的を明確にすること」「仮説を立てること」を挙げる。
「ブランドマネージャー自身、検証したい仮説が定まっていないケースがあると感じます。対話を通じてビジネス背景や目的を引き出し、調査後に迷いなく意思決定できるように調査設計書を作っておくことが大事です」(近藤氏)
目的によってデータ分析のアプローチも異なる。今回は「パートナー企業とのコラボレーション成立」を目的にしたソーシャルデータの活用ケース(仮想)を例に、具体的なメソッドを紹介する。

