広告運用だけでは伸びない──導線最適化で成果を積み上げる
岩本:本題に入る前に、まずはWebマーケティングにおける施策の全体像について、簡単に整理させていただきます。
リード獲得や新規顧客獲得を進める際、基本の流れは大きく「集客」「接客」「追客・育成」に分けられます。「集客」では広告やSEOなど複数のチャネルから流入をつくり、「接客」では受け皿となるWebサイトやLPでユーザー体験を最適化する。さらに「追客・育成」では、獲得したリードを継続的にフォローしていくことが重要です。
岩本:集客面では、AIの発達を背景に不正クリックなどのアドフラウドが増え、広告費やクリック単価の高騰につながっています。アドフラウドについては、Web広告費の約22%が不正クリックだった、というデータもあるほど。流入してくるユーザーが適切でなければ、投下コストが無駄になってしまう。タグを設置し、不正対策エンジンでクリックやCV情報を解析、不正な広告配信を自動でブロックするなどの対策が必要です。
また、LPO(ランディングページ最適化)でCVRを高めたとしても、95~97%程度のユーザーはコンバージョンせずに離脱してしまいます。こうしたユーザーをつなぎとめるために、当社ではLINEを活用した施策でアプローチしています。このように、集客から追客、そしてROI設計も踏まえたLTV最適化までを一気通貫で支援できるのが、我々Faber Companyの強みです。
本日はその全体像の中でも、コンバージョンの成否を分ける「接客」の部分、特に「流入後のユーザー導線最適化」にフォーカスします。東京スター銀行様の事例を通して、A/Bテストを中心としたLP改善のプロセスと、そこから得られた成果を共有いたします。
広告運用に偏った体制が、獲得導線の改善を止めていた
岩本:東京スター銀行様では、どのような課題があり、今回当社に支援をご依頼いただいたのでしょうか。
岩瀨:従来からカードローン、おまとめローン、不動産担保ローン、口座開設など、各商材・テーマごとにLPを用意し、集客施策にも取り組んできました。一方で、当時は広告運用を中心とした体制だったこともあり、流入後の導線を継続的に検証・改善していく取り組みについては、さらに強化できる余地があると感じていました。見込み客獲得に関する対応も、商材ごとに担当者単位で進めている状況でした。
岩瀨:そこで、LP改善をより体系的・継続的に進めるべく、外部の知見も取り入れながら検証を深めていきたいと考えていました。そうした時に「ミエルカ」などのツールを利用していたFaber Company様から支援をご提案いただき、お願いすることにしたんです。
KPIを細かく設計し、“なぜ”まで踏み込むPDCA
岩本:東京スター銀行様にご依頼を受けてまず取り組んだのは、既存サイトの課題抽出です。課題ベースでPDCAを回しながら検証を実施していきました。当社の強みは、各施策検証時に細かいKPI設計を行い、結果の数値だけでなく「なぜその結果になったか」まで踏み込んだアプローチをすることです。
次は安藤から、今回の具体的なプロジェクトの流れを説明します。
安藤:2025年度は、東京スター銀行様のLPで20本以上の改善施策を実行させていただきました。今回は、注力商材である「おまとめローン」のCTA周りの施策に絞って紹介します。
安藤:おまとめローンのLP構成は、ファーストビュー付近で金利や審査日数、おまとめ額などサービス内容が列挙され、実績セクション、診断を促すCTA、そして本申し込みのCTAと続きます。その後は、総額をまとめた際に月々いくら返していけばいいかの対照表、カードローンとおまとめローンの違いを示す比較表、具体的なユースケース、さらにシミュレーションで自分ごと化できる、といった構成になっています(画像1)。
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安藤:一般的にLPOでの改善施策は、超顕在層、顕在層、準顕在層と段階を経て着手していきますが、CTA周りから着手するのが定石です。今回は超顕在層、準顕在層に向けて施策を進めていきました。
CTAは“文言”と“見せ方”を分けて検証。CVR120%超を達成
安藤:ここからは具体的な施策内容をお伝えします。既存のCTAテキストは「完済目指して今すぐお申し込み」のみでした。そこでCTAボタンの上のテキスト部分を4パターン作り、検証を実施しました。まずは超顕在層に刺さる訴求どころを探っていったのです(画像2)。
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安藤:その中でCVRが最も高かったのが、「『約90%の方が、毎月の支払い額が減額された』と回答!」というパターン1のテキストでした。その次が「リボ払いのおまとめにもご利用可能!」のパターン3です。そこで、この2つを掛け合わせることで大きなインパクトを起こせないかと考え、次の施策に進みました。
次の施策では、2つの文言は変えずにUIを変えて再度テストを実施。CTAの上部に記載する、上下に記載する、中に記載するなど、デザインを変えた複数パターンを用意しました。結果として、メインボタンの上下にテキストを記載したパターン2が最もCVRが高い結果となりました(画像3)。
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安藤:この「上下に記載する」テキスト部分はこれで決定し、次はCTAボタン内のメイン訴求部分を探りにいきました。メインに記載する文言をそれぞれ変えて検証した結果、「簡単3分」を訴求したパターン2のCVRが非常に高く、ユーザーに刺さることがわかりました(画像4)。
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さらなる追加施策として、上下に記載したテキスト部分の中のコア訴求部分のみを強調する施策も行い、CVRを120%超まで向上させることに成功しました(画像5)。
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CTAの勝ち筋を「本文」と「サービスサイト」へ横展開。最大141%の改善を実現
岩本:このCTAボタンの改善施策でテストを繰り返した結果、それぞれCVRに差が出ました。この結果から、どのようなことが分析できましたか。
安藤:CTA施策を行った結果、「減額可能」や「リボ払いもおまとめ可能」などのコア訴求ポイントがわかりました。そこから、カードローンのLPに流入してくる層とは異なり、おまとめローンのLPでは、より返済に切迫したユーザーが多い、という気づきを得ました。
その後は、コア訴求ポイントをCTAだけでなく、LPの本文にも掲載して強調する施策を進めました。たとえば、まとめるとどれぐらいの返済額になるかの対照表の部分に、減額可能性を強調した文言を付け足しました。その結果、これも112%の改善につながりました(画像6)。
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一方で「リボ払いもおまとめ可能」のセクションは、既存のLPに存在していなかったため、デザインを「減額可能」セクションと揃えたうえで新設しました。その結果、こちらもCVRは約105%まで向上しました(画像7)。
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安藤:なお、今回見つけた改善ポイントは、LPだけでなく、おまとめローンのサービスサイトにも横展開しています。ただ、LPの文言をそのまま転用しても適しません。ページ前後の閲覧ページやユーザーの心理も異なりますし、サービスサイトはLPと比べてCVRが10倍高かったりもします。そのため、LPで培ったベース知識は引き継ぎつつ、検証はサービスサイト用に別途PDCAを回していきました。その結果、サービスサイトでもCVR140%超を実現しました。
第三者視点の提案で改善が加速。他商材への横展開も始動
岩本:ここまで当社が実施した施策を説明してきましたが、岩瀨さんは支援当時、どのように感じましたか。
岩瀨:率直に、想定以上に改善できているという印象でした。多くの施策をご提案いただき、限られたリソースの中でも検証の領域を広げることができたと感じています。

岩瀨:また、LPは日常的に確認している分、自分たちでは気づきにくい部分もあったのですが、第三者視点で改善提案をいただけたことで、新たな発見が多かったですね。CVRも大きく伸びてきたので、個人金融部門の広告に携わる部署全体でも話題になったほどでした。今回はおまとめローンの施策をご紹介しましたが、現在はそれ以外の口座開設のLPなどにも、横展開を進めている段階です。
岩本:今回のプロジェクトを通じて改めて浮き彫りになったのは、「ユーザー理解」という領域は、決してAIだけで完結できるものではない、ということです。集客や追客の効率化はプロダクトに委ねることが可能ですが、接客領域では、プロダクトやAIで改善できる部分と、人をアサインして改善していく部分を掛け合わせたアプローチが重要になると考えています。
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岩本:当事者としてサービスに向き合っていると、データの捉え方が固定化されてしまうことがあります。そこに我々のような外部パートナーが客観的な視点を持って介在し、お客様の「セカンドブレーン」として改善を積み重ねていく。我々は、この深い伴走支援を通じて、皆様に本質的なバリューを提供させていただきます。
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