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本当に効く、インフルエンサーマーケティング(AD)

男性向け商材のUGC施策はなぜ難しい? シック・ジャパンに学ぶ、“量”より“信頼”の戦略設計

 男性向け商材でのUGC施策は、女性向け商材と比較して難易度が高いと言われている。インフルエンサーの母数が少なく、自発的な発話が生まれにくい男性層に向けて、企業はどのようにコミュニケーションをとるべきか――シック・ジャパンは、UGC戦略のパートナーであるウィングリットとともにその難題に挑んでいる。本稿ではシック・ジャパン マーケティング本部の大川春菜氏と、ウィングリットの成富洋氏に取材。新ブランド「プロジスタ」の成功例をもとに、男性向け商材のUGC戦略で押さえるべき勘所を探っていく。

シック・ジャパンが開拓する、シェービング×スキンケアの新市場

MarkeZine:はじめに、シック・ジャパンの「progista(プロジスタ)」について教えてください。

大川:プロジスタは、シェービング前後の肌ケアまでを提案するトータル・グルーミングケアブランドです。日本人男性の肌に向けて開発しており、シェーバーやシェービングフォーム、洗顔料、美容液などを展開しています。中でも特徴的なのが、理容師の施術から着想を得た「ショートハンドル」のシェーバー。一般的なT字カミソリより短い設計で、やさしく自重で深剃りできる操作性にこだわりました。

プロジスタ
プロジスタ

MarkeZine:シック・ジャパンがスキンケア商品を本格展開するのは初めてですよね。ブランド開発の背景をうかがえますか?

大川:ブランドの出発点にあるのは、「シェービングからはじまる、スキンケアを。」というコンセプトです。男性の肌ケア習慣はまだ発展途上であり、日常的に行われているシェービングのタイミングを、肌を整えるスキンケアの入り口にできるのではないかと考えました。

 また、「約2人に1人しかシェービング剤を使っていない」という調査結果もあり、シェービングが十分な肌ケアとして捉えられていない実態があります。そこで、シェービングを単なる身だしなみで終わらせず、スキンケアの一部として再定義し、シェービングとスキンケアをつなぐ新しい価値を提案したいと考えました。

価格以外のフックをどう作る?UGCを「信頼形成の装置」に

MarkeZine:ターゲットやマーケティング戦略の全体像を教えてください。

大川:メインターゲットは、エイジングサインが気になり始めた30~40代男性です。マーケティングでは、従来製品のように幅広く一斉に届けるよりも、世界観や価値に共感してくださる方へしっかり届ける設計を重視しました。

シック・ジャパン株式会社 マーケティング本部 コミュニケーションスペシャリスト 大川春菜氏
シック・ジャパン株式会社 マーケティング本部 コミュニケーションスペシャリスト 大川春菜氏

 具体的には、ローンチ時に百貨店でのPOPUPやバラエティストアでの先行展開を行い、まずはブランドの世界観を醸成。その後、ECでの展開やUGC創出にも力を入れています。購買導線の中で自然に情報に触れ、理解を深めてもらう流れを作りました。

MarkeZine:その中で、UGCはどのような役割を担っていますか?

大川:UGCは、まだ習慣化していないシェービング前後の肌ケアの必要性を、第三者視点で補強する「信頼形成の装置」として位置づけています。というのも、シェーバーは日常的に使うアイテムであり、価格や手軽さが重視される傾向もあります。そのような中、プロジスタはプレミアムな価格帯に位置していることもあり、自分を整える時間そのものや肌ケアの価値を知り、納得して選んでもらう必要がありました。

一発のバズで動かない男性こそ、段階的な施策設計が肝になる

MarkeZine:男性をターゲットにしたUGC施策は難易度が高い印象があるのですが、実際どうなのでしょうか?

大川:そうですね。男性は一時的な話題性よりも、信頼できる情報に基づいて商品やブランドを選ぶ傾向があるため、中長期的な接点を持ち、生活シーンの中でいかに自分ごとにしてもらえるかが重要となります。

MarkeZine:ウィングリットはシック・ジャパンの課題を受け、どのような施策を設計しましたか?

成富:プレミアム価格帯かつ、販路が限定的な製品であることを考慮し、「シェーバーを購入したい層」ではなく「自分を整える時間に価値を見出す層」をターゲットに設定して、施策を組み立てました。UGCの起点となるインフルエンサーとのタイアップ施策もフェーズに応じて段階的に、まずは30~40代男性の信頼獲得、その後は代理購買やギフト需要も見据えた人選へと拡張しています。

株式会社ウィングリット 執行役員 営業統括 成富洋氏
株式会社ウィングリット 執行役員 営業統括 成富洋氏

難易度高、男性インフルエンサーの起用のポイント

MarkeZine:男性向けと女性向けでは、インフルエンサーのキャスティングで意識すべき観点も変わるのでしょうか?

成富:はい、「量」と「質」のどちらを優先するかという戦略の軸が大きく異なります。

 ケースバイケースという前提はあれど、女性の場合は自己表現性が高い傾向にあり、SNSの接触頻度も多いので、UGCが売上に直結しやすいです。そのため、投稿の「量」で多方面からリーチを広げていき、話題化の波を作る設計が定石です。

 一方、男性の場合はSNSでの発話が女性に比べると少ない傾向にあるため、まずは「語っても違和感のない空気」を醸成することがポイントであると考えています。信頼できる人物やメディアからの「質」の高い推奨を段階的に増やし、中長期的に信頼を積み上げる設計が特に有効となります。

MarkeZine:なるほど。男性の場合、そもそもの母数が女性インフルエンサーと比べて少ないのに加え、さらに“質重視”となると、キャスティングも難しそうですね。

成富:ええ、パイが限られる中で影響力のある人物を選定する必要があるため、難易度は高いです。「信頼」を生むためには、文脈の違和感を徹底的に排除しなければなりません。

 たとえば、どんなにフォロワー数が多かったとしても、ヒゲ脱毛をしている人にシェーバーの依頼をしてしまっては、今回の文脈は成り立ちませんよね。特に男性向け商材では、リサーチに時間を費やし、ソーシャルリスニングをかけながら、ブランドの世界観に合致するインフルエンサーをシビアに選定するようにしています。

MarkeZine:ブランドの世界観を守るため、UGCコンテンツに関して注意していることはありますか?

大川:インフルエンサーを起用する場合は、基本的にその方の個性やアカウントの文脈を活かしていただくことを大事にしています。一方で、シック・ジャパンは「Make beauty grooming joyful」というパーパスを掲げており、各種コミュニケーションもこのパーパスを具現化するような、お客様をワクワクさせるものであるべきと考えています。

 たとえば、「ムダ毛」のようなネガティブに感じる言葉を極力使わないのもこだわりのひとつです。ウィングリットさんはこうした会社としての理念やこだわりの部分を理解した上で、ブランドごとのトーンの違いを踏まえた設計をして下さるので信頼しています。

ターゲットは「使う本人」だけとは限らない。ギフト需要を捉えた成功事例

MarkeZine:これまでの取り組みで、特に高い成果が出た具体的な施策があれば教えてください。

大川:大きな手応えを感じたのは、2025年12月のギフト需要期に実施した「代理購買層」向け施策です。女性の購買比率が約2倍に上昇し、ECで限定販売したギフト商品が早期完売する成果となりました。

 当初は男性本人をターゲットにしたUGC施策を実施していましたが、ターゲットや訴求内容の検証を重ねていく中で、「贈る人」にも目を向けてみようとウィングリットさんから提案をもらい、ターゲットを拡張しました。トライアル実施ではありましたが、売上に直結する成功事例が生まれてよかったですね。

MarkeZine:ウィングリットはなぜ、代理購買層へのアプローチを提案したのでしょうか?

成富:当社は2024年からシック・ジャパン内の複数ブランドを男性向け・女性向けともに横断的に支援させていただいており、別ブランドでの成功事例を積極的に横展開しています。初めてヒゲを剃る10代男性をターゲットにしたブランド「Schick FIRST TOKYO」で、お母さんから10代のお子さんにプレゼントするという文脈のUGC施策を行い、一定の成果を上げていたので、そのナレッジをプロジスタでも活用した形ですね。

MarkeZine:ブランド横断で支援されているからこその事例ですね。代理購買層向けにはどのようなインフルエンサーをキャスティングしましたか?

成富:ジャンルレスに横断的なサーチをかけ、男性のパートナーがいることを公表している女性インフルエンサー、パートナーと同棲しているインフルエンサー、いわゆる「情報系」のまとめアカウントなども活用しました。キャスティング対象は「人間」とは限りません。

 商材をユーザー視点で魅力的に紹介することが可能な人選をジャンルレスかつ網羅的に広くピックアップし、絵に描いた餅ではなく、しっかりと施策をやり切れることも当社の強みと言えるでしょう。

Instagramでのタイアップ例(右から@umino_desu、@ryotracks、@_____084taro、@rihito_gift)
Instagramでのタイアップ例(右から@umino_desu@ryotracks@_____084taro@rihito_gift

MarkeZine:ECへ誘導できれば効果も可視化しやすいですが、店舗を介す場合そうもいかないと思います。シック・ジャパンでは、どのようにUGC施策の効果測定を行っていますか?

大川:UGC施策は、定量・定性の両面から評価しています。定量指標としては、imp数やview数、視聴維持率、エンゲージメント率、保存数に加え、EC上でのレビュー増加や指名検索数の推移を。定性指標としては、コメントの内容や共感の深さといった“質”を重視しています。具体的には、「自分も試したくなった」「こういうケアは初めて知った」といった自発的な反応が増えているかを定性的に分析し、信頼形成につながっているかを見ています。

UGCを通じて「シェービング=自分を整える時間」の価値を広めていきたい

MarkeZine:最後に、UGC施策における今後の展望についてお聞かせください。

大川:これまでUGC施策ではオンラインでの「信頼の積み上げ」に注力してきましたが、今後はオンラインで生まれたUGCを店頭などのオフライン接点へさらに拡張し、顧客体験を立体化させていきたいと考えています。昨今、男性向け美容市場は盛り上がりを見せているものの、自分の美容習慣を自ら発信する男性はまだまだ限定的です。UGCを通じて「シェービング=自分を整える時間」の価値やワクワクを広めていきたいですね。

成富:今後はインフルエンサー施策だけでなく、タレントキャスティングを伴うクリエイティブ制作、ソーシャルキャンペーンやギフティングなどのUGC創出施策、各種広告配信、次のPDCAにつなげるソーシャルリスニング、コアファンの熱量を活かしたファンダムマーケティングなども視野に入れています。

 そして、UGC領域を質・量ともに包括的に支援する戦略的マーケティングエージェンシーとして、さらなる事業成長に寄与していきたいと考えています。男性向け商材特有の「必勝パターン」をシック・ジャパン様と一緒に探求し続けることで、パーパスの浸透や売上拡大に貢献していきます。

ウィングリット社のご案内

ウィングリット社の実績や事例が知りたい方は、ホームページよりお問い合わせください。

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この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社ウィングリット

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/04/17 12:00 https://markezine.jp/article/detail/50554