「アウトバウンド営業」で業績を伸ばしてきたマクロミル
ネットリサーチを主力としながら、マーケティングリサーチやデータ活用コンサルティングなども手掛けているマクロミル。橘氏によれば、2000年の創業当時の競争優位は「ネットリサーチ」と「アウトバウンド営業」の組み合わせだった。従来は数ヵ月を要していた消費者調査だが、ネットリサーチでは短時間で結果を得られる。この利便性を武器に、営業が積極的に新規顧客を開拓していった。
「従来の調査よりも圧倒的に早くて・安いネットリサーチというプロダクトを、アウトバウンド営業で売りにいく。この組み合わせが非常に強く、業績は大きく伸びていきました」(橘氏)
しかし、市場の成熟や組織の拡大と共に、マクロミルの営業スタイルは創業初期の強みであったアウトバウンド型からインバウンド型に移り変わってゆき、コロナ禍による顧客接点の激減を契機として、営業戦略の見直しが取り沙汰されるようになった。特にコロナ禍で営業が困難となったときの危機感は大きかったという。
そこからBtoBマーケティングの強化に踏み出し、現在生み出しているパフォーマンスが以下だ。講演ではここに至るまでの地道な活動が明かされた。
- ROAS(広告投資対売上)1000%:億単位の広告投下でもBtoBマーケティングで優良水準とされる400%の2倍強を維持
- マーケティング獲得経由の売上比率:4.5%から20%へと拡大
改革は「消滅寸前のマーケ部門」から始まった
大きな成果を上げているマクロミルのBtoBマーケティング改革だが、決して順風満帆なスタートではなかった。2020年前後、コロナ禍と同時期に同社では調査運用のキャパシティに大きな問題が発生。アンケート調査の依頼があっても、運用上の制約から受注できない状況が続いた。これにともない、積極的な販促は不要との経営判断が下った。
「マーケティング関連の予算はほぼカットされ、組織も急速に縮小していきました。ベテランのマーケターも多く在籍していたのですが、次第に退職していき、最後は3人しか残りませんでした」(橘氏)
しかし、橘氏は当時の問題の本質は別のところにあったと振り返る。それは、社内におけるマーケティング部門の存在感の低さだった。
「根本的な問題はプレゼンスの低さでした。経営層も含めて、他部署が“マーケティングが何をしている部門なのか”を理解していなかったのです。当時、マーケティング部門は社内の意思決定の場にほとんど参加しておらず、活動内容が社内で共有されていませんでした。そこから約6年で、予算は約7倍、人員は約8倍に拡大し、経営戦略の中にもマーケティングが明確に位置づけられるようになりました」(橘氏)
どのようにしてこの転換を実現したのか。橘氏が最初に取ったアプローチは、社内で圧倒的に強い存在だった営業組織との関係性を見直すことだった。
