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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Online

MarkeZine Day 2026 Spring

消滅寸前3人だったマーケ組織を売上創造の要に。マクロミルの泥臭くも戦略的なBtoBマーケティング改革

たった4人で年間150本のコンテンツを量産する方法とは

 マクロミルのオウンドメディア戦略でもう一つ特徴的なのが、前述の「コンテンツをマーケティング部門で作らない」という方針だ。マーケティング部門は、「コンテンツの流通業者」を担っている

 社内には、コンテンツを必要とする部門と、発信したい情報を持つ部門の両方が存在している。営業部門は事例やナレッジを求め、広報はPR素材を必要としている。一方、プロダクト部門には紹介したい製品や知見があるが、発信の場がないことも多い。こうした需要と供給をつなぐハブとして、マーケティング部門が機能するようにしたのである。

 さらに橘氏は、オウンドメディアでも「メディアビジネスの成長モデル」が再現できると考えた。質の高いコンテンツが読者を増やし、リーチが拡大すると、より著名な人物への取材が実現しやすくなり、質の高い情報が集まりやすくなる。この循環を橘氏は「メディアパワーの水車」と表現する。

 わかりやすい例として、同社はコンテンツの質を段階的に高めていく仕組みを導入している。最初は若手メンバーが作成した記事から始め、一定の成果が出れば次はシニアメンバー、さらにチームリーダーと、徐々に発信者のレベルを引き上げていく。現在では、各部門のエース級人材がコンテンツ制作に関わるようになっているという。

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 ちなみに、橘氏は「新しいコンテンツを作り続ける必要は必ずしもない」と考えているそうだ。メルマガのような偶発的な接触が多いメディアでは、一度の配信で届く読者は限られている。そのため、良質なコンテンツを繰り返し配信する方が効率的だという。

 オウンドメディア戦略を支えるもう一つの考え方が、「コンテンツのマルチパーパス化」だ。たとえばホワイトペーパーとして作ったものは、セミナー資料にも使い、それをセミナーレポートとしても配信する。ときには一つのコンテンツを7~8通りの用途に展開することもあるそうだ。

 「コンテンツとメディアを組み合わせることで、コンテンツのROIを大きく高めることができます。社内に眠っている知見を循環させる仕組みを作ることこそが、オウンドメディア運用の鍵です」(橘氏)

BtoBマーケティングは「メディアを作ったもの勝ち」?

 橘氏はマクロミルでの経験を踏まえ、BtoB領域の歴史ある日本企業こそ、オウンドメディアを持つべきだと指摘する。

 「BtoBマーケティングは“メディアを作ったもの勝ち”だと思っています。まず、BtoB市場では広告出稿すべき専門メディアが限られています。特定の業界テーマに特化した大規模メディアが存在しない場合、自らメディアを作る方が合理的です。

 また、BtoB企業には、大量の顧客リスト、専門的な知見、そして人材が蓄積されています。それらを組み合わせれば、メディアの基盤は十分に構築できるでしょう」(橘氏)

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 ただし、オウンドメディア戦略も含むBtoBマーケティングを実行していくには、越えなければいけない壁がある。それは「社内営業」、つまり、マーケティング施策の価値を各部門に理解してもらい、関係者を巻き込んでいくための活動だ。

 「マーケティングの数字は、マーケを知らない人からすると非常にわかりにくいものです。事実、最初は『すごいね、頑張ってね』という反応で終わることも多くありました。

 他の部門に理解をしてもらい、経営に欠かせないパーツと認識してもらうには『数字の積み重ね』が必要です。私は『数字が人格』と割り切って取り組んできました。『仕事をください』と、頼まれていない提案書を作ってプロダクト部門に持ち込んだりもしました。社内営業は対外営業と違って商談回数に制限がありませんから、粘り強く続けることが大切だと感じています」(橘氏)

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 現在のマクロミルでは、営業とマーケティングが一緒に売上を上げていく「営業とマーケの共創」が実現している。これから先、AIシフトによって、マーケティングの役割はさらに大きくなると橘氏は見ており、2030年頃までに同社のマーケティング経由売上を40~50%にしていきたいと考えているそうだ。

 営業主導の企業でも、オウンドメディアとデータを軸にマーケティングを再設計すれば、売上を生み出す成長エンジンへと進化できる――マクロミルの取り組みは、BtoB企業におけるマーケティングの可能性を改めて示した事例と言えるだろう。

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この記事の著者

こまき あゆこ(コマキ アユコ)

ライター。AI開発を行う会社のbizdevとして働きながら、ライティング業・大学院で研究活動をしています。
連絡先: komakiayuko@gmail.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/04/08 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50556

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