年々UGCが増加中のQoo10、広告はティザー的な役割へ
野嶋:2社のTikTok活用の全体像がわかったところで、今日は次のようなテーマで取り組みの詳細を深掘りしていこうと思います。
- Qoo10:広告に閉じないTikTok活用、UGC戦略のポイント
- 日本テレビ:200以上のアカウントを社内で運用できる理由、内製化のポイント
先ほど、Qoo10では「広告に閉じない形でTikTokを活用している」というお話がありましたが、具体的にどのような取り組みをされているのでしょう?
Qoo10・モラーノ:初期から実施してきたのが、TikTokの広告商品として提供されている「ハッシュタグチャレンジ(現ブランデッドミッション)」です。特定のハッシュタグをつけて動画を投稿してもらったり、オフラインのイベント会場からTikTokに投稿してもらったりと、様々な企画でUGC施策を行ってきました。2026年でTikTokを始めて7年になりますが、発話+投稿数は年々右肩上がりで伸びています。
数年前から、ティザーとして広告で情報を発信すると、キャンペーン開始と同時にユーザーから「何を買うか」「何を買ったか」「いくらだった」などのUGCが投稿されるようになり、変化を確認しています。
野嶋:ということは想像するに、広告コストはむしろ減っているにも関わらず、TikTokでの露出量(投稿数や再生回数)は増えているのでしょうか?
Qoo10・モラーノ:ありがたいことに、そうです。近年は、テレビCMや屋外広告とも自社キャンペーンを連動させており、どんどんUGCが増えている状況ですね。
また、広告の効果測定に関しては、当社独自の評価方法を採用しています。広告施策全体であがった成果からデジタル広告の成果を引き、オーガニックの効果を算出するという方法です。これによって、UGCがいかにGMV(流通取引総額)に寄与したかを評価しています。
野嶋:なるほど。さらにQoo10は、TikTokやライブショッピングのコンテンツを、様々な形で二次利用されていますよね。
Qoo10・モラーノ:そうですね。直近では、LIVEの素材を横型60秒に再編集し、TRAIN TVで配信するという新たな試みも開始しました。無音環境でも必要な情報が伝わるよう、工夫して編集をしていただいています。また、TikTokユーザーが投稿するハッシュタグの情報は細かくウォッチし、企画テーマの立案で参考にしたりもしています。
200以上のアカウントを内製化!日本テレビのSNS運用体制
野嶋:続いて、「日本テレビのSNS運用の内製化」について詳しく教えていただこうと思います。200以上ものSNSアカウントをどのようにして内製化されているのでしょうか?
日本テレビ・栗原:番組のSNS運用をサポートしているのは、コンテンツ戦略局に設立されたマーケティングセンターというセクションです。それまでは、宣伝・デジタル・データ分析の領域を各セクションで担当していたのですが、一つの組織にすべて合体させて、情報共有を円滑化させることに。足掛け3〜4年かけて、現在の組織体制が確立されました。
実際にSNSを運用しているのは、番組のディレクターやアシスタントディレクターです。他局では宣伝部・マーケティング部が各番組のSNS運用を担当している例もありますが、日本テレビでは現場の番組スタッフがSNSを運用する体制を目指しています。
野嶋:内製化できる状態まで組織を変えるのは、かなり大変だったのではないかと思います。また、専任のSNSチームを設けたり、外部の運用会社に委託したりするのではなく、現場の番組担当者がSNSを運用していく体制は珍しいですよね。
日本テレビ・栗原:そうですね。最初はSNS運用のノウハウがないので、外部のSNS運用会社に運用サポートをお願いしていました。ですが、それでは大きなコストがかかりますし、自社で内製できるようにならなければ、そのコストは半永久的に出ていくことになります。それは将来的に良くないと考え、内製できる体制を整えることにしました。
具体的には、まず各番組に適したSNSの運用会社をマーケティングセンターでアサインします。3ヵ月から半年ほどかけて番組のSNS運用を一緒にやりながら、運用ノウハウを現場(番組のSNS担当者)に学んでいただきます。自走できるレベルになったら、SNS運用会社にはまた次の番組に入ってもらうという繰り返しで、SNSを自分達で運用できる番組を徐々に増やしていきました。今では、多くの番組が自走化に成功しています。
この内製体制の良いところは、制作現場だからこそ出せる「熱量」をSNSに活かせることです。たとえば、番組スタッフだからこそ撮れる映像、放送では流せなかった「メイキング」や「番組の裏側」。これが、ファンにとっての”キラーコンテンツ”になります。
