本来の貢献度を測るインクリメンタリティ計測、真の価値を見極めムダをなくす
田中氏が最後に紹介するのが、「インクリメンタリティ計測」だ。そもそも「インクリメンタル」とは「純増効果」のこと。MetaのCMOであるAlex Schultz氏が「インクリメンタルがすべて」と発言するほど、Meta広告にとって重要な指標だ。

インクリメンタリティとは、「あるマーケティング施策が生み出した真の価値」とも表現できる。田中氏は本講演を例に挙げて概念を解説する。
「たとえば今日のプレゼンで得られたノウハウがあったとしても、すべてが僕の成果ではありません。ここまで聞いたみなさんの中には、既知の情報もあったはず。『もともと知っていた』ものを除外したうえで、『今日のプレゼンでしか得られなかった情報』があれば、それこそインクリメンタルな成果です」(田中氏)
アプリにおけるコンバージョンも同様だ。まったく広告に触れずともコンバージョンするユーザーや、広告に接触したところで、仮にそれがなくともいずれコンバージョンするユーザーはいるだろう。Metaではそれらを除いた、「広告に接触しなければ発生しなかったコンバージョン」を重視している。
「生々しい話ですが、たとえば1,000万円広告投資した場合、インクリメンタリティを加味せずひとつのアトリビューションモデルだけで評価してしまうと、350万円の損失になるという試算もあります。それほどビジネスインパクトの大きい観点だからこそ、数値を可視化していくべきなのです」(田中氏)
なお、検証のためのセットアップやレポーティングは、コンバージョンリフト調査の要領で設定できる。具体的には、テスト群のユーザーをデモグラフィック情報や興味関心で平等に分けたうえで、「広告を接触させるユーザーVS広告を接触させないユーザー」で比較するかたちだ。

Metaが本当に事業貢献度の高い媒体かどうかを見極め、適切に投資していくための最初の一手として、まず「インクリメンタリティ計測」での検証に挑戦してみるのもいいだろう。
インクリメンタルとアトリビューションは補足関係、複数の測定ソリューションを組み合わせる
最後に田中氏は「大切なポイント」として、「我々はラストクリックアトリビューション(ラストクリック最適化)を否定する立場ではない」と念押しする。ラストクリックを含めた既存のアトリビューションとインクリメンタルアトリビューションは、“A or B”ではなく“A and B”の関係。どちらの長所も活かしながら使い分けていくべき機能と言える。

ラストクリックアトリビューションには、「クイックにPDCAを回せる」という明確な利点がある。そして、ラストクリックアトリビューションとインクリメンタルアトリビューションは、それぞれの苦手分野がちょうどマッチする補完関係だ。
たとえば、クオーターに1回インクリメンタルアトリビューションでの本格的な検証をしつつ、常にラストクリックアトリビューションで検証を重ね、CPIやCPA目標を調整していくなどの工夫ができるだろう。「単発の調査で終わらせずに、定期的かつ長期的なPDCAサイクルのなかに組み込んでもらえたら」と田中氏は活用を推奨した。
Meta広告の強みは、さまざまな測定ソリューションを連携して活用することによって、マーケティング戦略のあらゆる要素を検証していけることにもある。インクリメンタルはもちろんのこと、短期指標から長期指標まで、幅広い視点で俯瞰できるかどうか、真の価値最大化を実現できるかどうかがアプリマーケティングの成否を左右することになるだろう。

