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決算書からザックリ理解!ビジネスモデル全解剖

なぜ赤字なのか? 夏野マジックは起きるのか?
決算書から分析するニコニコ動画の実態とこれから


いくらでもユーザーに刺さるサービス展開が可能

 ニコニコ動画が、将来的に収益の面でも大きく成長する可能性は高い。なぜなら、ニコニコ動画は既に巨大な動画メディアとしての地位を確立しており、ユーザー層も広範にわたって獲得しているからだ。つまり、このことはニコニコ動画を中心として周辺事業を行えば、相当なシナジーを生み出すことができると言ってもいいだろう。

ユーザー数に占める年代別指標(平成20年9月期 決算説明会資料より作成)

 上図はニコニコ動画のユーザーを年代別に分けたものだが、そのシナジーのイメージ図としてそこに串をさすイメージで表すと上図のようになる。縦横どちらに対しても、見事に深く、広くささる可能性があるのだ。つまり、ニコニコ動画は現状は赤字であったとしても、既に収益を生み出す基盤をもった装置としては大成功しているのである。あとは、誰(事業及びサービス)が舞台にあがるかだけである。

ニコニコ動画(秋)から順次バージョンアップ

 さて、ニコニコ動画の今後の展開であるが、決算資料には「一般化」「収益化」とある。ニコニコ動画(夏)以降を振り返ってみると「ニコニ・コモンズ」といったサービスがローンチされており、更にニコニコポイントの導入、ニコニコメダルゲームの開始、広告ローテーション化&広告枠拡大、ユーザーニコ割の提供、UI変更、ニコニコチャンネルの開始等…矢継ぎ早に収益化に向けたサービスがローンチされている。

 ニコニコチャンネルにおいては、コンテンツ提供会社は121社にのぼる。これまでの公式動画とは異なり、チャンネルへ参加しているユーザーだけが視聴できる動画展開や、チャンネルごとの生放送など、新しいコンテンツが追加されていくという。また、新たに有料チャンネルを設置。将来的にユーザーがチャンネルを開設できる仕組みも予定されている。日本を代表するテレビ局やレコード会社との提携はまさに、夏野氏の本領発揮といったところではないだろうか。

これまで、数多くのコンテンツプロバイダーが“ネット化”を試みたが、その多くは不発に終わっている。ニコニコ動画という“強力な集客装置”とうまくコラボレーションをすることで、“ネット化”の糸口が見えるかもしれない。一方、メジャーなコンテンツプロバイダーとの提携により、ニコニコ動画としては“もう一歩先へ”進むための契機となることは確実だろう。

 いずれにしても、この巨大な収益装置をもった舞台にどのような役者が揃うのか見物であり、2009年6月に予定されている単月黒字化が楽しみである。

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この記事の著者

池永 尚史(イケナガ ヒサシ)

 

1979年生まれ。CGMブログ・メディアを展開するベンチャー企業、インターネットサービス系企業を経て独立。2010年3月より株式会社ノイズ代表取締役。

 

■ 著書
・ 稼ぐアフィリエイターはブログが違う!(技術評論社刊)
・  ドロップシッピングス...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2010/06/17 11:59 https://markezine.jp/article/detail/5125

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