楽器と同じように「チューニング」が必要
四家
SEOコンサルタントは、通常どんな形で仕事を進めていくのですか。
河田
まずお客様のビジネスを可能な限り理解し、お客様がWebサイトで何を実現したいのか、その思いを共有します。次にサイトの構造を把握し、それぞれどういったキーワードが適切かを選定します。「表記のゆれ」のところでも話に出ましたが、検索回数だけではなく、サイトや個々のページにおける主題と適合するキーワードを柔軟な発想で選定してゆきます。ただし、検索結果ページ、1ページに表示されるURLの件数はたいてい10件だとか、上限がありますので、上位に表示されるかどうかは競合との相対的な比較となります。そのため、それぞれのキーワードで上位に表示されている競合ページの強さも見て、どうしても太刀打ちできなそうであれば、検索回数がそこそこあるのに競争が激化していないワードを探したりということもありますね。
四家
なるほど、新しい土俵を作っちゃうような感じですね。
河田
実際の作業としては、サイト外/サイト内それぞれの要因をそれぞれ「最適化」していきます。サイト外というのはいわゆる外部からのリンクの量・質・形です。いわゆるディレクトリ登録からはじまり、リンクしてくれそうなテーマ性の似通ったサイトへのリンク依頼などの地道な作業や、あるいは参照されやすい(=リンクが張られやすい)コンテンツの作成や仕組みの導入を提案することもあります。
四家
「最適化」というだけあって、さまざまな手法の組み合わせによって、最適な状態をめざしていくわけですね。
河田
サイト内の要素も多岐にわたりますが、検索エンジンが理解しやすいサイトの構造に変更することから、不足するコンテンツの追加提案、個々のページが適切にその主題を打ち出せるようなhtml記述のあり方まで、サイトの現状を分析し、最適化のための改善案を提示します。サイトによって目的とするコンバージョンのあり方は異なりますので、単に設定したキーワードで上位に表示されるだけでなく、そこからスムーズにコンバージョンの獲得につながるよう、ページの構成内容まで意見を申し上げることもあります。 クライアント様にその提案の採否を決めて変更作業を行っていただいたら、その内容が検索エンジンに適切に取得されているか、その結果としての順位の向上がそのように進んでいるかを定期的に確認します。順位の上昇がいまひとつの場合には、より強めるような追加の提案を行います。
弊社では最適化の行程を「チューニング」と呼びます。四家さんは楽器をやられるのでおわかりだと思いますが、音を調整するときにはある程度「このくらいかな」というところまで大きく締めて、そこから鳴り具合を見ながら微調整していきますよね。SEOの流れもまさにそんな感じです。
四家
凄いなー。緻密な仮設検証を継続的に進めていく感じですね。コンサルタントの仕事も大変じゃないですか? 高度だし細かい仕事多そうだし。
河田
楽ではないですよね。実際の分析や提案策定に入る前のクライアント様のビジネス構造の理解にも時間をかけますが、まだまだ勉強することが多くて……、また、最新動向の把握から仮説の立案・検証など、見えないところの作業にも当然力を入れていますが、このあたりも日進月歩ですから。SEOの場合はあくまで順位を決めるのは検索エンジン側であるため、施策は万全なはずなのに順位がなかなか出ない、などということもあり、そういうときは本当に頭が痛くなります。
SEOは、長期スパンで最適化を進めていくので余裕がありますが、リスティング広告はそれこそリアルタイムに効果を把握できるため、常によくしてゆくための提案を求められますね。同僚達はほんとうにたいへんそうです。でも、費用対効果のよいマーケティング手法ってPDCAのサイクルを日々まわして改善してゆけるから効果があがるんですよね。
四家
同僚って、河田さんご本人だって大変でしょう。コンサルタントをやりながら執筆もやってるし。案件は日々回さないといけない、休みなしに。
河田
ですね。ただ、クライアント様に喜んでいただけるとほんとうれしく感じます。文字通り「クライアント様に育てていただいたし、育てていただいている」という気がしています。私たちの取り組みを通じてクライアント様のビジネスも伸び、一体となってSEMを実践していく感じです。なんか建前っぽいですけど(笑)。