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村中明彦の営業いらず!売上直結の最強Web成約術

第4回 本質を見抜いて勝つ! ロングテールはビジネスでは「使えない」理論である (後編)


アマゾンはロングテールビジネスではない

ロングテールビジネスは、通常、このような図で理解される。再掲しよう。

いわゆる「ロングテール」の図。 ちゃんと頭と尻尾がある。

 恐竜のように背が高い一部の商品の売上(ロフティヘッド)。一見、売上の大半はここが占めるように見える。だが本当は、長い長~い恐竜の尻尾(ロングテール)を合計していくと、テールの合計がヘッドを上回るという考え方が、ロングテールである。

 ところがアマゾンの売上構成は、このような形ではないのだ。なるほど尻尾は長い。すごく長い。だが高い頭がないのだ。つまりこんな形だ。

アマゾンの売上構成図。これでは恐竜ではなく、ヘビ?

 伝え聞くところでは、アマゾンの書籍の売上トップ20は、合計しても微々たる額にしかならないらしい。つまりアマゾンには高い頭(ロフティヘッド)がない。尻尾だけのロングテール・オンリーの売上構造なのだ。そしてこれはアマゾンだけの特殊な話ではなく、もともと出版とはそういう市場、わずかずつ売れる少数の商品が売上の大部分を構成する市場なのである。

書籍とCD、どっちの尻尾が長い?

 もう少し書籍という商品の特徴について見ていこう。毎日数多く出版される書籍の価値とは、人々の知的欲求・ニーズに応えること、つまり「頭が欲する情報」を提供することである。頭が欲する情報は人それぞれであり、ニーズは多岐にわたる。だから書籍は点数が多い。

 一方で「体が欲する商品」というジャンルがある。のどが渇いたからビールが飲みたいとか、腹減った、うまいものが食べたいといった需要である。こうした商品の種類は、書籍に比べて圧倒的に少ない。カラダ、感覚が欲するものは、結局のところワンパターンだからだ(※2)。

 書籍とビールの中間商品として、音楽CDを考えてみよう。音楽もまたロングテール市場と言われている。聞くところによればiTunes Storeに登録されている楽曲で、ダウンロードされたことがない曲はないらしい。だが、アマゾンの売上においては、書籍に比べて、CDの尻尾ははるかに短いのだそうだ。CD市場においては、売上の多くをメジャーアーティストが占めているようだ。

 そもそも、なぜCDが書籍に比べてロングテールの尾が短くなるかというと、CDは書籍に比べて発行点数が少ないからだ。なぜ少ないかというと、音楽は体(感覚)の欲求に応える商品だからである。書籍よりも、ニーズの種類が少ないのだ。したがってCDでは数百万枚、数千万枚というメガヒットが生まれるが、書籍の場合、ヒットの桁がひとつ少なくなる。書籍は通常、一回しか読まないが、お気に入りのCDは何度でも聞く。

(※2)
「頭が欲する商品、体が欲する商品」という区分けおよび、それに関する理論は、出版コンサルタント土井英司氏によるもの。
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この記事の著者

村中 明彦(ムラナカ アキヒコ)

日本唯一の「お客様の声、事例」の制作、コンサルティング会社カスタマワイズを経営。「商品の価値を本当に説明できるのは売った人ではなく買った人」を信条に、エンドユーザーにインタビューし、それを営業ツールにまとめるメソッドを確立。「事例をWeb掲載しただけで800万円成約を獲得」、「取引先の社長の前で事例を朗読しただけで3,00...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/03/16 17:42 https://markezine.jp/article/detail/561

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