ジュンク堂におけるロングテールを考える
ところで、アマゾンと同じような売上構造を持つリアル書店が日本にはある。それはジュンク堂である。
ジュンク堂を一言で言うと、「図書館が本屋になったような店」である。池袋本店の常時在庫は150万冊。売り場面積2001坪。電磁気工学だろうが、ユーゴスラビア文学だろうが、キノコの育て方であろうが、ありとあらゆるジャンルの専門書が広い店内にズラリと並んでいる。全国に30店舗の少数店舗展開ながら、売上は、ただいま全国第4位。業績も絶好調だ。
ジュンク堂の、品揃え重視の販売戦略は、「リアル店舗のアマゾン」とでも呼べそうだ。「書籍という市場の本質」によく合致しており、業績が好調なのもうなずける。
1人で年間600万円を書店に落とす顧客
アマゾンとジュンク堂は、商品点数が多いことは同じだが、お客の本の買い方はまったく違う。アマゾンで専門書を買うときには、指名買いでピンポイントで買う一方、ジュンク堂では、専門書コーナーの棚の前に立って、自分の知らない専門書を探して(立ち読みして)買う。
あるコンサルタントは新たな仕事を受けるたびに、ジュンク堂池袋店に行って、その仕事の分野に関連する書籍を、棚の端から端まで全部買うのだという。彼は「ジュンク堂池袋店には年間600万円は落としている」と豪語していた。
書籍のようにニーズが完全に多種多様なジャンルの商品、商品ごとの売上が小さいジャンルの商品の場合、ジュンク堂のようにリアル空間に徹底的に品揃えすると、1人で数百万円という超大口顧客が生まれるというわけだ。もしかすると、ジュンク堂の顧客別売上グラフは、ロフティヘッドとロングテールを備えた、本当のロングテールグラフになっているかもしれない。
今回は「ロングテール」の理論と実際について、さまざまな角度から分析してみた。次回のテーマは「ロングテールはチャリティに使える理論である」とする。乞ご期待。
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