比較目的のユーザーをサイトにとどめる工夫とは
ECサイトでの価格の見せ方の工夫について、過去の実践メモ(「確認画面で与える安心感」)では確認画面での工夫について取り上げました。今回は確認画面よりも前に、同様の工夫が必要となるケースについて紹介します。家電など比較的高価な商品を扱うECサイトやメーカー直販サイトでは、ユーザーは一度の訪問で購入にまで至るとは限りません。
ある家電ECサイトでのユーザー調査において、ユーザーは一通り商品情報を見て候補の商品を選択した後、価格をメモしてサイトを離脱し、比較のために他サイトを訪れる様子が多く観察されました。
この時のユーザー行動には
- 買い物かごまで行かない
- キャンペーン割引や購入特典をあまり意識しない
という特徴が見られました。
はじめから他サイトと比較することを目的にサイトを訪れているため、商品の内容と価格を「だいたい」把握した段階でサイトから離脱してしまったのです。
この家電ECサイトではキャンペーン割引を用意しており、買い物かごに商品を入れたところでキャンペーン割引額が表示されるようになっていました。また商品の紹介ページなど、至るところで「○%オフ」というキャンペーンの訴求がなされていました。
しかしユーザーは買い物かごに商品を入れる前に、割引適用前の価格をメモしてサイトから離脱してしまいました。また「○%オフ」の割引価格を自ら計算することもありませんでした。このまま他サイトと比較されては不利であることは言うまでもありません。
このような場合、買い物かごに入る前のページでも具体的な割引額と最終的な価格(割引適用後の価格)を見せることが効果的と考えられます。DELLサイトのパソコンカテゴリなどが好例です。
繰り返しますが、比較のためにサイトを訪れたユーザーは、いくら商品を気に入っても購入フローには至りません。サイト側はユーザーが一度サイトを離脱することを念頭に置き、ユーザーがどこで離脱しても割引後の価格を意識してもらえるように、価格の見せ方を工夫する必要があるでしょう。