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モバイルビジネスの成功法則をキャッチ!mobidec2008レポート

Googleが考えるモバイルインターネットの未来、検索、広告、そしてAndroid

Googleが掲げる3つの柱「検索」「広告」「アプリケーション」

 まず「検索」について、Lagerling氏はモバイルにおける「検索」の重要性を、ある調査結果を示しつつ強調する。マクロミルの2007年の調査によると、国内のモバイルにおけるネット利用用途の1位は「情報検索」であり、メールやニュース閲覧を大きく凌ぐ。テレビや日常会話の中で、不明点や興味関心がある事項があったときに、PCを開くことなく手軽に検索できるからだろう。

 その際に「会話をしながら、そのまま声で検索できないものか」という発想から生まれたのが、「音声検索サービス」である。現在iPhone向けに提供されており、音声の一部に違和感があっても、これまでのネット検索で蓄積されたデータから推察し、検索できるようになっている。Lagerling氏は「音声認識自体の歴史は長い。使いやすさが今後のカギになる」とその優位性を訴求した。

 「広告」についても、モバイルにおける検索広告のニーズが高まっていることを指摘する。既にモバイルで何かを探す場合、URLやディレクトリメニューよりも断然キーワード検索に頼ることが多い。近年の急上昇ワードを見ると、単なる暇つぶしから、何かを欲して検索をしている傾向が見えるという。Lagerling氏は「モバイルは、購買意欲が高まっている休日や週末などとの親和性が高く、テレビや人との会話などとも相性がいい。モバイルによる検索と広告による訴求効果は、今後いっそう高まるだろう」と述べた。

 また「アプリケーション」への取り組みの一例として「情報共有」を実現する「クラウドコンピューティング」に関して言及した。「クラウド」は、ネット上に情報を保管し、必要な人々があらゆるところからアクセスし共有するという考え方であり、「ユビキタス」を実現する方法の1つとして注目されている。既に日本のネットワーク環境では3Gが普及し、高速化が進んでいることから「クラウドの実現は容易い」という。しかし、そこで重要なのは、「PCだ、モバイルだと切り離すことなく、端末を意識させないことだ」とLagerling氏は語る。

 例えば、Googleの動画共有サービス「YouTube」では、モバイルとPCでサービス内容に差がない。これはユーザーの「PCでできることは、そのままモバイルでもできるべきであり、同等のバリューを提供することは当たり前だ」という考えに応えたわけだ。Lagerling氏は「そうしたモバイルサービスに求められていたバリューを、ようやく機器もネットワークインフラも整ってきたことで提供可能になりつつある。もはや言い訳はできない」と語り、「お金をベッドの下に貯めておく人はない。同じように情報も、必要なときに必要なものを取り出せるようにすることが大切」と力説した。

 そうした世界を実現するための「アプリケーション」について、Googleは『Webブラウザで完結可能なものは、できるだけブラウザの中で提供する』というコンセプトを貫こうとしている。Lagerling氏は、「Googleだけでは、ユーザーが求めるものすべてに応えることは不可能」と述べ、他社との連携によって実現していくという方針を説明する。

開かれたプラットフォームへ「Android搭載携帯はGoogleフォンではない」

 この「他社との協業プラットフォーム」という構想を具現化したものが、Googleが「開発者が1番作りやすい環境を考えて作った」という携帯電話用ソフトウェアプラットフォーム「Android」である。Androidを初めて搭載し、米国で発売された端末「G1」は、予想の2倍という速度で売れ続けており、年内で販売台数100万台に達する勢いだという。

 Androidの最たる特徴は、PCと同レベルのアプリケーションを、モバイル向けにも容易に開発できることだ。開発環境が統一化されることで、国内はもちろん世界市場を視野に入れた開発が可能。さらに無償のため、ソフトウェア開発にかかるコストを抑えられる。加えて、これまでさまざまなサービスを提供してきたPC系の開発者もモバイル市場に参入しやすくなる。バックヤードにGoogleマップなど他のサービスの機能を活用する「マッシュアップ・アプリケーション」の開発まで含めると、技術的なハードルの低下や開発スピードの向上が期待できる。

 また、Android上で開発したものについては、一部ミドルウェアに対するオープンソース化を期待しつつも、強制はしないという。つまり、開発者にとってビジネスの土台作りに大きく貢献し、サービスが提供する価値による自由競争の環境を支援しようというのである。Googleのプラットフォームを搭載しているが、決して「Googleフォンではない」というわけだ。

 Lagerling氏は「技術の進化をユーザーに感じさせる必要はない」と語る。それは、10年前からサービスを大きく進化させつつも、インターフェースがほとんど変わらないGoogleのトップページに象徴されるメッセージと共通する。最後にLagerling氏は「Androidを意識させず、ユーザーに近く、素晴らしい価値を与えるサービスが多数登場することを願っている」と期待を語った。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/12/11 20:00 https://markezine.jp/article/detail/6101

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