次に必要なのはパーソナライゼーション(個性化・個人化)
前項まででやっと「脱・捨てられないステージ」を抜けたのだが、まだまだ顧客の心理を「買う」までもってくるには道のりは長い。まだ、顧客は「捨てなかった」だけであり、「興味をもつ」にも至っていない。次には、「興味を持ってもらう」というステップが必要となる。
逆に、興味をもてないメールとはどんなメールか。「興味のない内容のメール」…という回答は実は正解のようで不正解である。極端な話、興味のない内容であっても、興味を持たせるようにすることは可能である。ではどのようにすれば興味を持たせることができるか。
正解はメールで人間性を演出することである。これまでの記述でお分かりいただけていると思うが、私自身は、受け取ったセールスメールをかなりドライにゴミ箱に移すタイプである。そんな私でもついつい読んでしまうメールがあり、必ず次のような特徴を持っている。
- 冒頭で個人名を名乗っている
(ex)こんにちは。初めてメールをさせていただきます。株式会社○○の山田花子と申します。 - 単語の羅列ではなく、筆者の言葉で記述されている
(ex)今回は、△△にお申込みいただきありがとうございました! - 顧客の個人名も文中に記述されている
(ex)山田自身も半年前から愛用している商品なので、□□さまにも気に入っていただければ嬉しいです! - 用件以外のエピソードなどにも触れてあり、筆者の人間性が伝わってくる
(ex)先日、前から気になっていた恵比寿の洋服屋さんに入ったとき…
またセールス目的のメールである場合、更に次の工夫をすると、顧客の興味に加え、“信頼”も増すことができる。
- 筆者が顧客の個人の担当であると申し出る
(ex)今後、□□さまにこの商品に関するお知らせを担当させていただきます、山田花子と申します。
もうお気づきかと思うが、一番に意識すべきなのは、「顧客を一人の人間として捉え、売る側も人間として対話のシチュエーションを醸成していくこと」なのである。営業を経験した人間ならば、商品やサービスと一緒に“自分の人間性”もセットで売り込むことの重要性を理解できると思うが、ネット上でもそれを実現することによりセールスの精度を上げることが可能である。

このようなパーソナライゼーションを付加することで、「捨てられないメール」は「読まれるメール」から「信頼を得られるメール」へと進化し、顧客の心理状態を「購入の検討が出来る状態まで」押し上げることができる。