プロキシサーバでIPアドレスは隠される
IPアドレスが共有されるもうひとつの仕組みとして「プロキシ」サーバと呼ばれるものがあります。プロキシとは「代理」という意味で、図8のように、Webサーバへのアクセスを中継して、「代理」でWebサーバにアクセスしてくれるコンピュータのことをいいます。

プロキシサーバの用途としてはプロキシでデータを蓄積(キャッシュ)することで、ネットワークをやり取りするデータ量を減らしたり、不正なアクセスを食い止めるなどいろいろなものがありますが、目的にかかわらず、プロキシを使うことで、Webサーバ側で記録されるのは、実際の利用者のIPアドレスではなく、プロキシのIPアドレスになってしまいます。
したがってプロキシを利用してアクセスをしている人の本当のIPアドレスは、知ることができません(ただし、プロキシの中には、本当のアドレスをサーバに通知してくれるものもあります)。
それでも、プロキシサーバがある組織内にあって、その組織の人しか使っていないようなものであれば、そのプロキシサーバ自体のホスト名から組織名まではわかります。しかし、身元を隠すことを目的に、インターネット上には誰でも利用できるプロキシサーバも存在しています。
こうしたプロキシサーバを利用したアクセスの場合、記録されるのはそのプロキシサーバのIPだけですから、実際のアクセス元はまったくわからないことになります。ただし、こうした外部のプロキシを利用している人はごくわずかではあるので、アクセス解析のように統計的な解析では、ほとんど無視できるといえるでしょう。
こうしたプロキシサーバは、どこかのコンピュータに不正にアクセスを行う際、元を隠すために利用されたりしますが、それ以外にも、特定のIPアドレスからのアクセスを禁じているようなサーバにアクセスする場合などにも利用されます。たとえば筆者は以前、あるソフトウェア(そのソフトウェア自体はごく普通の合法的なものです)をダウンロードしようと思いましたが、そのMac版をダウンロードできるサイトが、日本からのアクセスをすべて禁止していたため、こうしたプロキシサーバを経由してダウンロードを行ったことがあります。