SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

水野貴明の“技術から学ぶ”アクセスログの読み方

第2回 IPアドレスを理解してアクセス解析結果を“正しく”理解する(後編)


IPアドレスからのアクセス元の地域特定(1) TLDの利用

 IPアドレス(とホスト名)からアクセス元となるプロバイダや学校、企業といった組織名がわかることはすでに紹介しましたが、IPアドレスからわかることは、それだけではありません。アクセス元の地域、つまりアクセス元のコンピュータが地球上のどの場所にあるのか、ということもわかってしまうのです。

 最初に述べたように、IPアドレスはコンピュータの場所を表す「住所」なのですが、それはあくまでバーチャルな住所であり、リアルな住所にそれを一定の法則で変換できるわけではありません。しかし、IPアドレスを割り振られたコンピュータ自体は、地球上のどこかに必ずあるわけで、さまざまな情報からその位置をある程度特定することができます。アクセスもとの地域を割り出す方法はいくつかありが、どの方法を利用するのかはツールやサービスによって異なります。

 まず一番簡単なのはTLDを利用する方法です。TLDとは「トップレベルドメイン」の略で、「jp」や「com」など、ホスト名の一番右側の部分です。このTLDは、そのドメインを管理する国の情報が含まれています。たとえば「jp」なら日本、「uk」ならイギリス、「it」ならイタリアです。このTLDを集計することで、どの国のドメインからアクセスが多かったのか、といったことがわかります(図9)

図9 TLDの例
国名 TLD
アラブ首長国連邦 ae
カナダ ca
チェコ cz
ドイツ de
フィジー fj
イタリア it
日本 jp
ミャンマー mm
ペルー pe
シンガポール sg
トンガ to
アメリカ合衆国 us

 ただし、これでアクセス元の地域が完全にわかるかといえば、残念ながらそうではありません。なぜならば、TLDによっては、その国以外の人でも取得できるものがあるからです。たとえば「com」や「org」、「info」といった国の名前と関係の無いドメインは基本的に世界中どこに住んでいても取得が可能ですし、トンガのドメインである「to」やツバルの「tv」をはじめとして、インドの「in」や中国の「cn」、イギリスの「uk」などがその国以外の人でも取得可能です。それに対して日本の「jp」やフランスの「fr」など、その国に在住している人や、その国で登記している企業のみが取得できるトップレベルドメインもあります(図10)。

図10 特定の国限定のTLDとそうでないTLD
登録を海外に開放しているccTLD
am アルメニア
bz ベリーズ
cn 中華人民共和国
cx クリスマス諸島
fm ミクロネシア連邦
gs 南ジョージア島・南サンドイッチ諸島
tc タークス諸島・ナイコス諸島
to トンガ王国
tv ツバル
uk イギリス
vg イギリス領バージン諸島
登録を海外に開放していないccTLD
bb バルバドス
bo ボリビア
br ブラジル
ca カナダ
es スペイン
gr ギリシャ
hk 香港
is イスラエル
jp 日本
py パラグアイ
uy ウルグアイ

 したがって、外国からでも取得可能なTLDがアクセス解析結果にあらわれても、その国の人がアクセスしてきたとは限らないのです。もちろん日本やフランス、カナダなどのその国限定のドメインであれば、その国の人か、少なくともその国になんらかの関係がある人だと言えるでしょう。しかしTLDだけで、アクセス元の国がすべてわかる、と思ってはいけないということなのです。

次のページ
IPアドレスからのアクセス元の地域特定(2) ホスト名からの解析

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
水野貴明の“技術から学ぶ”アクセスログの読み方連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

水野 貴明 (ミズノタカアキ)

1973年東京生まれ。バイドゥ株式会社勤務の兼業テクニカルライター。学生のとき に父親が買ってきたパソコン(マイコン)と出会い、コンピュータとの付き合い を開始。大学は有機化学、大学院では分子生物学を学ぶも、就職で再びコンピュータの道を進むことになった。その後インターネットの普及により、様々な方に出会う機会を得て1999年より執筆活動を開始。 http://d.hatena.ne.jp/mizuno_takaaki/

 

著書
『アクセス解析でホームページの集客を極める本』 水野 貴明著、 ソーテック社、2005年3月 
『詳解RSS~RSSを利用したサービスの理論と実践』 水野 貴明著、ディー・アート、2005年8月

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2008/04/16 16:47 https://markezine.jp/article/detail/64

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング