オラクル社が目指すComplete CRM
気になるのは、今後のCRMの方向性だ。
「CRMは、営業活動の効率化と自動化を目指すSFA(Sales Force Automation)がはじめです。その頃からCRMという言葉が一人歩きしはじめました」(塚越氏)。オラクル社のCRMアプリケーションは、営業プロセスの自動化やデータ収集、可視性アップなどを行う機能の搭載に始まり、次に意志決定を支援する分析機能の充実、そしてコラボレーションやコミュニケーションへと段階的に進化している。
同社のCRMアプリケーションは、Sales、Marketing、Service、Lpyaltyの4つ要素から構成されており、それぞれのCRMコア業務におけるプロセス管理と情報管理を行う処理機能、データの可視化を行い方針や戦略決定を支える分析機能、そして必要な情報を自動的に提供する連携機能を搭載している。
このような包括的機能を持つCRMアプリケーションのベンダーであるオラクル社。同社が次にCRMが目指すところとして目標に定めているのが、情報の共有を強化するコミュニケーション力のアップ。ソーシャルネットワークのコンセプトとWeb 2.0アプリケーションを利用した「Social CRM」が、同社が次に目指す先だ。

「重要データの約7割は、営業マンの机や頭の中にあります。米国は営業マンが各地にばらまかれた状態。入れ替わりも激しいことから、データを残そうという仕組みが必要とされています。お客様に提案活動する際に、効果が高かった情報をシェアしたい。そのシェアの方法として有効なのがソーシャルネットワークなのです」(塚越氏)。
提案書を蓄積してシェアすることは現在でも行われていると思うが、「この提案書がいい」「この提案書のこのページに対するお客様の反応が良かった」という情報を、ソーシャルネットワークでシェアするのだという。
「企業がお客様に対する活動を続けている限りCRMは必要です。CRMアプリの機能としては、トランザクションと分析機能はかなり充実してきたという解釈。内部だけではなく、パートナーも含めたソーシャルネットワークでの情報共有が現在のキーワードです」と語る塚越氏。
米国のCRMに遅れをとっている日本だが、現在取り組みはじめている分析によるマーケティングの先には、情報をマーケティングに限らず社内・パートナー企業との間で如何に共有し、顧客に如何に対応していくかという課題があるのだ。先を見据え、分析と施策の効果アップにとどまらない、より広い視点でCRMをマーケティングに活用していく必要があるのではないだろうか。