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ソーシャルメディアとCRMの融合
オラクルが描くCRMの未来


 1990年代初頭に米国で生まれたCRM(顧客関係性マネジメント)。そのCRMを支えるCRMシステムは、日本での浸透率はあまり高くないものの、米国ではその活用が進んでいる。CRMの活用が一歩進む米国発の最新CRM製品が目指す先は、これから日本がたどるであろうCRM活用のあるべき姿に通ずるものがある。そこで、CRMサービスを提供するトップベンダーの1社であるオラクル社にCRMのこれからについて話をうかがった。

顧客マスターを持った瞬間から広義のCRMが始まる

 1990年代から盛んに言われ出したCRM(Customer Relationship Management/顧客関係性マネジメント)は、実はさほど新しい思想ではない。旧来から『お客様は神様』『顧客主体』といった言葉はあり、大福帳などを使い実践されていた。営業マンが手帳に書いていた顧客情報も、CRMの一種。それをITで支える仕組みとして作られたのが、CRMシステムだ。

 「オラクルはERPをはじめた時から販売管理や顧客マスターを持っています。これは、CRMの基礎中の基礎となる部分。顧客マスターを持った瞬間から広い意味でのCRMが始まるのです」と、日本オラクル株式会社アプリケーション事業統括本部ビジネス推進本部本部長の塚越秀吉氏は語る(写真右)。

 「パッケージソフトは、企業の中のある程度確立された処理の自動化して効率化を実現するものです。ERPが扱うのは構造化されたプロセスがほとんどで、会計処理などが得意。営業プロセスで見ると、オーダーが確定してから出荷する部分にあたります。オーダーが入ってから如何に効率化するかという部分にはベストプラクティスがあり、それを真似ることができます。しかし、CRMはお客様が基軸となるもの。オーダーが入る以前のプロセスを高めて行こうというのがCRMシステムです。お客様が決めるプロセスのため、非定型な業務が非常に多く、ERPのベストプラクティスに対し、CRMはナレッジマネジメントのシステムに近い」(塚越氏)。そのため、パッケージとしては開発思想もその造りも異なるのだという。

 日本で導入されているパッケージはERPが主流。ERPにはCRMの発想はないが、ERPの顧客がCRMに対するニーズをたくさん持っていることを知ったオラクル社。そこから、同社はCRMビジネスに本格的に取り組み、2005年12月にCRMの経験が豊富なSiebel社を買収して、2006年から共にCRMビジネスを展開している。

Siebel CRM 8.1.1でロイヤリティ管理とセルフサービス機能を強化

 顧客とのコミュニケーションチャネルは、従来の営業担当者やコールセンターに加え、インターネットやモバイルなど多様化が進んでいる。そのような状況の中、あらゆるチャネルから得られる顧客の情報を速やかに収集して分析し、各顧客のニーズに対応した製品やサービスを適切なタイミングで提供して顧客満足度を向上させ、顧客の囲い込みを実現する仕組みが求められている。

 オラクル社が2009年2月にリリースした『Siebel CRM 8.1.1』では、このような現状をふまえ、ロイヤリティ管理機能やセルフサービス機能が強化されている。

 「マーケティング活動を行う際、ターゲティングを必ずやります。自社に対してお客様が如何にコミットしてくれているかを捉えられるようになろう。これをコンセプトに、ロイヤリティ管理機能を強化しています」(塚越氏)。会員顧客のポイントやサービスの利用状況から顧客の趣味指向を分析し、適時適切なサービスの提供に役立てようという考えだ。その質の高いデータを得るために、マイレージやポイント管理の機能が強化されている。

 また、ショッピングサイトやWebサイト上で顧客が自身の情報を登録、変更、削除などを行った際、『Siebel CRM』の顧客情報との同期を可能にするのがセルフサービス機能。従来、CRMアプリケーションとマーケティングアプリケーションや顧客データとの連係は手作りで構築する必要があったが、最新版のSiebel CRMでは、その連携部分が標準搭載されている。

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この記事の著者

田中 裕子(タナカ ユウコ)

フリーライター。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/09/11 17:26 https://markezine.jp/article/detail/6852

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