自動入札管理ツール誕生の背景
さて、ここで自動入札管理ツールの歴史を簡単に紐解いてみよう。
自動入札管理ツールはもともと英国・米国で開発されている。そして、リスティング広告も広告主のマーケティング・プロモーション活動において日本よりも早期に普及していた。
各国でリスティング広告の普及が進むにつれて、膨大なキーワードを運用する広告代理店や、広告主の負担が大きくなり、その業務効率化と運用の最適化を目的として、自動入札管理ツールは開発されというわけだ。
インターネット広告先進国での普及が進む
英国のSEMエージェンシーである、The Search Works(サーチワークス)社が2001年にローンチしたBidBuddyが自動入札管理ツールの草分けである。The Search Works社は、2006年に英国最大のSEMエージェンシーとなり、また同年にツール専門の開発・販売部門の子会社としてThe Technology Works(テクノロジーワークス)社を設立した。
その後2007年に、両社はスウェーデンに本社を置き、ヨーロッパ・アジア18カ国で事業展開を行なっているデジタルマーケティングカンパニーのTradeDoubler(トレードダブラー)に買収される。BidBuddyはというと、後継機であるtd Searchware(tdサーチウェア)に引き継がれることになった。
一方米国では、Efficient Frontier(エフィシェントフロンティア)社のEfficient Frontier、Go Toast社のGo Toast(後のAtlas One Point、Atlas Search)などが2002年から2003年頃に開発されている。
その他にもSEMエージェンシー、24/7 Real Media(トゥエンティー・フォー・セブン・リアルメディア)社のDecide DNA(ディサイド ディーエヌエー)、米国ツールベンダー SearchIgnite(サーチイグナイト)社のをはじめとして多種多様な自動入札管理ツールが存在する。
日本と同様に広告代理店のプレゼンスが大きい英国では、各ツールベンダーは提供先となる広告代理店へ「同ツールの導入により人件費の削減ができる」ことをメリットとして謳い、自動入札管理ツールを普及させていった。
一方、日本や英国よりも広告主と媒体との直接取引が多い米国の場合は、企業のマーケッター向けのツールが多く開発・普及してきた。米国発のツールの持つ機能的特徴のこれまでの発展は、オンラインマーケターの観点での、ユーザビリティー最適化に由来すると言えよう。
多くの自動入札管理ツールの料金体系は、リスティング広告課金金額のボリュームに応じた変動料金体系になっているが、これはすなわち、経営者にとってみれば、リスティング広告運用に必要とされる「固定費としての人件費」を「リスティング広告運用ボリュームに応じて増減する変動費」に変えることができるということを意味するだろう。従来は人手で行っていたマニュアル作業を自動化させ、業務の効率化を進めていったわけだ。これにより、人件費を削減する、あるいは人的リソースの配分をよりクリエイティブな作業へシフトさせることにより、広告主へのより質の高いサービスの提供を充実化させたと言われている。