有料サービスの動向~SearchIgnite
SearchIgnite/サーチイグナイト
こちらの記事のように、2008年1月にネット専業広告代理店最大手のサイバーエージェントとセプテーニが取り扱いを開始した、米国SearchIgnite社の自動入札管理ツールである。
サイバーエージェントとセプテーニHDは、サービス提供の開始時に、SearchIgniteの取り扱い開始に関する共同リリースを出し、業界内で注目を集めた。SearchIgniteは、いわゆるルールベース型ツールとポートフォリオ管理型ツールの双方が持つ機能を兼ね備えている。
ルールベース型の機能的優位性は、「ポートフォリオ管理型ツールによる運用方法は、リスティング広告の出稿ロジックを容易に説明しきれない、ある種のブラックボックスが生じてしまう」というポートフォリオ管理型ツールへのアンチテーゼとして優位性が訴求される側面もあるが、SearchIgniteの場合には、これを解決したツールであると言える。
また、リスティング広告運用を最適化させる対象は、広告グループ、キャンペーンごとに留まらず、オーバーチュアとグーグル双方のメディア間をまたいでさえも、可能にしている。また、依然として広告主からの根強い需要のある広告掲載順位の管理機能も持っている。
SearchIgniteの機能において特筆すべきは、運用上で投資効率を最大化させるコンバージョンの指標は1つのアクションにとどまらず、複数のアクションを、その重要度に応じてスコア化させて、そのスコアを最適化させることができる機能を持っていることである。
これは、SearchIgniteが「Weighted Action(ウェイティッドアクション)」と称して装備している機能である(ただし同様の機能は、Efficient Frontierも有している。その呼称は「Multi Metrics(マルチメトリックス)」というものである)。
リスティング広告を出稿する広告主企業は、最終的に自社製品・サービスをユーザーに購買してもらうことを目的とする。ただし、リスティング広告のコンバージョン設定では、ただ単に購買行為のみではなく、1つのキャンペーンで、購買客と見込み客を獲得することを目的とするケースも発生する。
健康食品会社を例とすると、恐らくは健康食品の販売そのものをコンバージョンに設定するケースと、無料サンプル請求をコンバージョンに設定するケースがある。この場合、通常のキャンペーン最適化であれば、両方のコンバージョンに対して最適な運用ロジックを設定し、リスティング広告予算、CPAとコンバージョン数を2つの価格線を元に運用することが必要となる。
ところが、SearchIgnite上では、あらかじめサンプル請求をする見込み顧客と、購買客の獲得のために、1つの予算、CPAと、複数のコンバージョンを1つの価格線上で最適化させることができるようになるのである。
このように広告主が実施するキャンペーンの実態に合わせて、その要望にきめ細かく対応をしているSearchIgniteは、広告主のリスティング広告への需要に則した機能的特徴を有するツールであると言えよう。
また、自然検索(SEO)、バナー広告などリスティング広告以外のオンラインマーケティング施策全般のパフォーマンスを一元管理することが出来るトラッキング機能など、リスティング広告の自動入札管理機能のみならず、オンラインマーケティング活動の実用に則した機能も組み込まれている。
加えて、ある有識者から、SearchIgniteは自動入札管理ツールを利用するに当たって必要となるタグの貼り付け方法が簡単であるという声も得られた。このように業務の作業を簡素化させていることも、リスティング広告の運用者サイドにとっては不可欠な機能であるのだ。
第4回記事は明日公開です。バックナンバーは以下よりどうぞ。
自動入札管理ツール誕生の背景
リスティング広告運用の効率化だけではない 2008年が自動入札管理ツール元年になったワケ