データ分析に対する自社内の反応や理解度について
続いて、Q2では「データ分析に対する、自社内の反応を教えて下さい。また、分析を行う上で、承認・説得など必要だったか教えてください」という内容に対する3者の答えは以下のようになった。
保坂氏 他の会社さんと違い、直販ビジネスを行っていないのが社内のハードルです。“データを使ってホントに売り上げ上がるのか? ROI向上できるのか?”といった効果が、マネジメントから見てすぐにはわからない。また、社内のシステムがきちっとつながっているとは言えない状態で、データベースマーケティングをやるにあたって十分なデータのクオリティがあるのかといった課題もありました。そこで、データのクレンジングをしてみたり、ターゲットリストを作ってみるといったことを積み重ね、その中でデータベースマーケティングで何ができるのかや、その有効性がようやく認知されてきた段階です。私が専任になったのもごく最近ですし、データベースマーケティングマネージャを専任で置くのは経営層としても決断しにくいところで、そこをようやっとクリアした段階です。
清水氏 店舗、eコマースは別のシステムで串刺しできる環境がない状態でした。それ以前よりユーザ部門から分析に対するニーズは高く、営業やバイヤーから年間数百本ぐらい分析依頼がありましたが、当時は分析に1~2週間かかるような状態。私たちが求める角度の高い分析ができる状態ではなく、とにかくもっと速く、深い分析が行いたいということで、まずDWH(データウェアハウス)を作ってもらいました。他の分析でわからないことを重点的に分析し、データに対する理解を深めてもらって、より分析を高速に行う環境が必要だねという下地をつくり、ステップアップしながら経営の承認をとっていきました。
箕輪氏 従来は感覚的な戦略を重視する傾向があり、ログデータには懐疑的な雰囲気からスタートしています。そのような中で、トラフィックの分析を毎週予算化して帳票をおこし、好調の要因や悪い原因を分析して各担当者と常に情報共有することで、分析に対する理解とデータに対する信頼が高まりました。徐々に他部署にデータ分析のニーズが広がり、現在では全社的にデータがないと次のステップに進まないという基盤ができたことが大きいと思います。まずは、最少人数で始め、現場に理解されることが重要だと感じています。
まとめ
白井氏 ひとりでやれることには限りがあるので、みなさんチーム体勢やシステム整備にご苦労されたと思います。それに対し、そもそも分析で何ができるのか、まずは小さいところからやってみることが、社内の説得をしていく流れにつながるということでしょうか。
