Wiiのプロモーションには、残念ながらマリエール東海のように「友達に教える」機能や「ブログに貼り付ける」などの機能はありませんでした。ただし企業が情報を公開し、提供することのインパクトを十分見せつけられたケースなので、ぜひ紹介したいと思います。
このページでは2006年9月14日に幕張メッセで行われた、「Wii Preview」というイベントのプレゼンテーション内容が公開されています。プレゼンテーションとしても本当に素晴らしい完成度(講演もスライドも完成度がめちゃくちゃ高い)ですので、まずは見ていただくことをおすすめします。
このサイトに貼り付けタグを公開し、ブログに貼り付ける機能を加えなかったのは、下記画面にあるように、ビデオクリップ(画面左上)とプレゼンテーションのスライド(画面右)を連動して見せたいという意向があったからかもしれません(ただし友人にサイトをメールで教える機能などがあってもいいとは思いますが)。
任天堂によって、このプレゼンテーションのページが公開されると、多くのブログで取り上げられたり、ソーシャルブックマークの人気エントリーに上がっていたので、見た方も多いと思います。
はてなブックマークで調べたところ、公式サイトは82ユーザーが、上記プレゼンテーションページは141ユーザーがブックマークに登録しています。テクノラティでプレゼンテーションページで検索したところ、160個のリンクもありました。
企業によるイベントの情報公開は、マクドナルドの「ピタマックカーブログ」や松下電器の「展示会ブログ」などでも試みが始まっています。リアルなイベントの場合、時間的・地理的な事情などで、どうしても当日、会場に行けない方がたくさんいらっしゃいます。
いやむしろ行けない方の人数のほうが圧倒的に多いでしょうから、そういう方々に臨場感溢れるレポートをインターネット経由で届けるというのは大変歓迎されます(先述の「展示会ブログ」では先月ラスベガスで行われたCESのレポートまで掲載されています)。
「任天堂Wii」はゲーム機としても画期的で、売り切れるお店が続出するなど人気ですが、発売前からインターネットですでに話題となっていました。こうした情報提供が話題を誘うのに効果的な役割をはたしていたのではないでしょうか。
このケースは、ブログなどと連動していないので、あまりホリスティック(多メディアを活用した総括的な)という観点では評価が難しいところではありますが、Wiiのサイトを見てみると、「社長が訊くWiiプロジェクト」というコンテンツがあったり、Wiiという商品とその世界観を積極的に公開していこうとする姿勢が見て取れます。
テレビCMでは伝えきれない開発の裏話やコンセプトを、きちんと公式サイトでフォローするというコミュニケーションの設計という意味では、これもすべてのメディアを効果的に活用していると言えるでしょう。
「漢検DS」のプロモーションの例
もうひとつゲーム関連で、ホリスティック・マーケティングの話題があります。 これは筆者も関わったプロジェクトなのですが、ニンテンドーDSのゲームソフト「漢検DS」のプロモーションです。まずやったことを先にリストアップしておきましょう。
- 調査結果のプレスリリース発表
- ブロガーイベントの開催
- ブログパーツの配布
12月12日が「漢字の日」だそうで(筆者は知らなかったのですが)、その日にプロモーションを行うためにすべてのスケジュールが組まれました。当日はリリース記事が新聞など、いくつかのメディアに掲載されたので、知っている方もいらっしゃるかと思います。
パソコンの普及などの影響で「漢字が書けなくなった」と答える大人が85%にものぼっているという調査結果があり、なるほど筆者も漢字は自信がないなと思っていました。そこで日頃からパソコンで文章を大量に書いているブロガーに集まっていただき、ペーパーテストを実施しました。