Q 広告の効果は、じっさいのところ如何でしょうか?
NYはマーケットが成熟していると言うこともあって、60~70%は年間を通して継続した掲載をしていただいています。上海はお店の回転が速いということもあって、5割くらいが継続した掲載です。残りは随時入れ替わっています。
Q ネットと紙、住み分けの秘訣は何かありますか?
エリアを絞って、広告を主な収入源と考えるのであれば紙での出版が向いていると思います。
Q すべらないために心がけていることは何でしょうか?
今から9年前、30歳になるときに立てた目標が「30代に10個事業を立ち上げる」というものでした、現在までに9つの事業を立ち上げています。その中で6つは継続して続いていますが、3つは残念ながらうまく行かず撤退しています。
ですから、決してすべらないと言うわけではないのですが、うまく行ったビジネスは着地点(儲けどころ、既存ビジネスとの差別化、社会的必要性)がはっきりしているように思えます。
邦人向けフリーペーパービジネスでは、その地域の読者が何を求めているのか、既存誌で拾えてないニーズは何か、広告主の既存誌に対する不満は何か、その事業を行うことによってそのコミュニティーにどういう還元ができるか。どれも基本中の基本ですが、プランを立てるときに最も重要な点だと思います。
まず、最初のステップとして、そういったことを「簡単でわかりやすい言葉」に落とすことができるかを必ず確かめるようにしています。簡単でわかりやすい言葉に落とせないものは、何かが矛盾していたり、そもそも事業案が無理やりだったりすることが多いように思います。また、事業を続けていく上で、迷ったときの重要な羅針盤にもなると思います。
Q 今後の目標を教えてください
私たちのビジネスは、海外に出て活躍する日本人の方を現地でサポートすること。米国、中国以外の国でも、事業を展開していきたいと思っています。
【インタビューを終えて】
初めて会ったNYでフリーペーパー事業の構想を聞いたのは2000年のこと。当時、既にインターネットは身近なものになっており「フリーペーパーとは少々古臭いな」と感じたのをよく覚えている。
しかし私のそんな印象とは裏腹に、発行からすぐに『NYジャピオン』はNY在住の邦人からもっとも支持される紙メディアのポジションを確立した。そして何より、スタート当初から、とにかく大量の広告が掲載されていることに驚いた。
そして2009年現在、海外各地で発行されている新谷氏のフリーペーパーは、今日もネットメディアにリプレイスされることなく、大量の広告主と読者によって支えられている。

新谷氏の海外フリーペーパービジネスは、エリアを絞ることにより今でもインターネットと住み分けが出来る事業は十分存在する、という好例だろう。