モバイルの可能性と、ソーシャルテクノロジー活用のカギ
日本ではモバゲータウンやmixi、Greeなどモバイルでのソーシャルメディアも消費者の心をつかんでいる。モバイル分野でのソーシャルテクノロジーの可能性についても聞いた。
「日本の事情については精通していないのですが、アメリカでのMySpaceやfacebook、ブラジルやインドでのorkutなどのサイトの動向はかなりフォローしています。ただ1つ言えることは、これからソーシャルテクノロジーにおいて、どこにいても使えるモバイルというものはますます重要さを増すということです。モバイルを使ってSNSの世界がこれから盛り上がっていくということは当然私達も考えていますし、ソーシャルメディアの次の進化というのはソーシャルテクノロジーとモバイルが合体することです。企業関係者も絶対に外してはいけないポイントになると思います」
最後に改めて企業におけるソーシャルテクノロジーのポイントについて聞くと、バーノフ氏はコミュニティに対するアプローチをするには、まずは目的を明らかにすることで、『人と話をしたい』『売り上げをあげたい』『認知度をあげたい』『リサーチしたい』などの目的によってアプローチ方法は違うとし、次のように語った。
「ブランドは退屈なブランドと面白いプランドという2種類に分けられます。面白いブランドは、Appleなどが挙げられます。秋葉原、セーラームーンなどもそうかもしれません。こうしたブランドにはファンがいて、人々はそのブランドについて語りたいと思うでしょう。しかし、銀行について人々が語ることは少ないです。こうしたブランドはどちらかというと退屈なブランドなのですが、だからこそ、どうすれば自分たちの問題を語ってもらえるのかを考えなければなりません。たとえば、ファミリーカーはブランドとしては退屈なほうかもしれませんが、主婦向けに『どのようにファミリーカーを使えば家事も仕事もできる』というアプローチをすれば、きっと会話につながると思います。書籍にも書いていますがP&G社の『ビーイングガール』というコミュニティサイトは、生理用品という公に語りたくない分野に対して、『13歳の女の子』に焦点をあてた話題づくりをして実際に成功しました。これら成功事例を事実としてとらえて、ソーシャルテクノロジーを使えば状況を変えることができると思います」
ソーシャルテクノロジー活用のカギは、企業活動をどうやって人々の会話に繋げていくかであり、フォレスター・リサーチ社もそこに注力しているという。バーノフ氏は日本のソーシャルプリケーションの活用状況については詳しく知らないというが、日本の消費者はアメリカと同じかそれ以上にソーシャルテクノロジーを利用しているという調査結果があるとした。「日本の場合、企業がソーシャルテクノロジーを活用する方法を理解していないか、理解しているが公に語りたがる企業がいないかのどちらかでしょう」とバーノフ氏。日本においても企業がソーシャルテクノロジーを活用していく土壌はできている。今後は、『グランズウェル』で紹介されているような成功事例が日本のマーケットでも多数登場することだろう。
