オープン性~外部ユーザーに支えられて発展
3番目に挙げた特徴は“オープン性”。津田氏は「Twitterはシンプルがゆえにオープンな道を選んだのが成功の鍵だったと思う」と語る。Twitter自体はシンプルなサービスであるが、その代わりにAPIという形式をとることで、フォローやフレンド、つぶやき、リプライなどの機能を外部から利用可能にしている。
「モバイルやSNSでも利用できるようにして、いつでもどこでもネットにポストしていくことで情報流通の仕組みを変えていくのがTwitterだと思います。Twitterは去年まで日本語化されていなくてずっと英語のインターフェースのままでしたが、それでも日本のユーザーはたくさんいました。初期の頃は日本語入力などに不具合が多く、携帯からも文字コードの問題で入力できませんでした。しかし、日本の技術者たちがAPIを活用して、不具合を修正したり『モバツイッター』という日本の携帯電話からTwitterを利用できる環境を整えました。現在ではiPhoneアプリのTwitterクライアントやマッシュアップするサービスも非常にたくさんあります。こういった動きも、現在のTwitterを形作っていると言えます」と、そのオープン性から外部のユーザーに支えられて発展していくTwitterの状況について話した。
独特の空気感~非対称型のコミュニケーション
4番目の特徴は“独特のゆるい空気感”。津田氏は「人間関係の制約や制限がゆるいことが、独特の空気感を作っているのではないかなと思います。SNSの場合は友達や知人同士の対称型で、承認した関係の中で何かをやっていこうというものです。Twitterの場合は、非対称型なので一方通行です。ある人の情報を見たいときはフォローすればよいのですが、フォローされた側は別にフォローしなくてもかまいません。RSSリーダーのように、自分が読みたいものを選ぶシステムですので、気楽なコミュニケーションができている点だと思います」と解説した。
加えて津田氏は、140文字という制限があるがゆえに当然誤解や齟齬もあるが、それをあきらめられるのがTwitterだという。「私自身も発言するとリプライをもらうのですが、全部は読めないので無視することもあります。無視してもどうこう言われることもないですし、私自身も誰かに質問して返事がなくてもあきらめがつきます。また、ハッシュタグを使った“#twinomi”という結構面白い現象があります。自分がお酒を飲んでいる時に、Twitterをやりながら何か書いて、ほかのユーザーと“#twinomi”というハッシュタグで、場所は違えど同じ時間帯にお酒を飲んでいる人が繋がるわけです。一人飲みをしていても寂しくないという、こういうことが成立してしまうのもTwitterのゆるさの1つです。“#twinomi”はおもしろいのでやってみてください」と、気楽に楽しめる利点などについて説明した。
自由度の高さ~さまざまな利用目的
5番目の特徴である“使い方の自由度が高い”について津田氏は「Twitterを情報収集に使う人もいれば、思い出を書く人もいるし、日記として使う人、友達との会話にしか使わない人、今見ているテレビの感想を書く人もいる。Twitterの創業者たちも『Twitterって何ですか?』という質問に対して、『携帯電話とか電子メールとか、そういう通信手段のインフラになったらいいですよね』と発言しています。創業者たちが思っている方向にうまく進んでいるため、自由度の高さっていうのがさらに高まっているという気がします」と、Twitter創業者の声を紹介し、彼らが社会インフラの1つを目指していることを伝えた。
属人性が強い~個人の行動・思考がコンテンツ化
最後に挙げた特徴は“属人性が強い”。津田氏は、Twitterが持つ強い伝播力と柔軟な情報受発信環境によって、ユニークな行動などが広まりやすいため、面白い発言や行動をしてフォロワーを増やすことがユーザーのインセンティブにつながっていると説明。「個人の行動や思考が限りなくコンテンツ化している気がします。価値観の近い他人とTwitterを通じて起きていることは、“思考のP2P”だと思います。人間が本来持つ面白さ、コンテンツ、特徴が濃縮還元されていると感じます」とした。