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CMS徹底活用ガイド

元ベンダーが語る!CMS業界四方山話(後編)


CMS業界にガリバーはいない?

―― Googleなら実現しそうですね(笑)。そういえば、CMS業界はガリバー企業がまだいないですよね。

T氏 そうなんです。Word、Excel、OS、グループウェアなど、基本的にソフトウェアの世界にはガリバーがいて、デファクトスタンダードの製品がでてきて、それに付随する製品が生き残るという世界ですが、CMSの世界にはいまだに世界的にもガリバーがいません。逆に言うと、あんまり汎用化できるようなジャンルの製品ではないんじゃないか? とも推測できます。

 例えば、グループウェアであればサイボウズ、ERPだったらSAP、のような感じのマーケットには今後もならないのではないかと個人的には思っています。Webサイトはそれぞれサイトごとに別々の機能を持っているので、どのWebサイトであっても、このCMSを導入すれば大丈夫というわけにはいかなのが現実です。もちろん、私の予想を超えた製品が生まれ、将来大きくシェアをとったりする可能性もあると思いますが。

 私的には、単純にCMSのマーケットだけでなく、システム開発の現状とか、ネット技術の進化とか、そういう外部要因によってこれ以上のマーケットになるか、ならないのかが決まっていくのかと思っています。Webブランディング+CMSとか、抽象的な戦略では通用しない時代になるのではないでしょうか。

必要な機能を見極めた提案/選択を!

―― なるほど。より競争が厳しくなりそうですね。一方で、導入側が意識しておくべき点はなんでしょうか。

T氏 誤解を恐れずに言うと、Web業界ではいまだにCMSに大きな期待をしすぎている部分があると思っています。しかしながら、実際のCMS導入にはクライアントとベンダー、それぞれがハッピーにならない部分もあり、それを理解した上で導入を検討する必要があります。

 例えば、CMSを導入すると今まで更新作業をしたことなかった人たちに運用をやってもらうことになるので、そうなると社内のWebマスターがその人たちを管理しなければいけなくなってしまうわけです。そうすると意外と導入したらすぐ手放しにはならなくて、使う人が多い場合は社内にちゃんとヘルプデスクとかを置かないと更新運用が上手くが回らないようになってしまうこともあります。ちなみに、そういう話は当然CMSベンダーからは出てこないので、担当者は導入してから気づくという感じです。

―― 予想外の仕事が発生してしまう(笑)。

T氏 ええ(笑)。また、Web制作会社を変えた際、最悪の場合は、次の業者がそれまで使っていたCMSを扱えないなどということもでてきます。やはり他人が作ったCMSやそのテンプレートを引き継ぐのは非常に手間であるからです。

 だいたい、原価償却を3年ぐらいで考えると、導入が早かった会社だと、そろそろCMSの入れ替えのタイミングに入っています。実際その作業に困っているWeb制作会社も多いのではないでしょうか。今まで使っていた更新用のテンプレートがすべて入れ替えになってしまったりするといろいろと大変ですからね。まあ、それはユーザー次第という話ですが。

―― 最後に、今後のCMS業界について、一言をお願いします!

T氏 とにかくCMSの選択肢が増えているので、提案側は「的の合った製品提案」をより求められることは確かだと思います。htmlはわからなくても、クライアント側のWebリテラシーは徐々に上がってきています。「なぜWebサイトを作らなければならないのか」 「そのWebサイトで何をしなければならないのか」という意識ですね。

 これから、ネット環境の普及により、その意識はさらに高まると思います。そのため今まで以上に、Web制作会社、CMSベンダー、双方に高いスキル、提案力が求められてくるのではないでしょうか。

―― なるほど。よくわかりました。今日は長時間どうもありがとうございました!

T氏 こちらこそ、どうもありがとうございました。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2009/01/28 10:34 https://markezine.jp/article/detail/874

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