数理的なマーケティングのための5ステップとは
現在のマーケティング領域を取り巻く環境を、“市場環境”“マーケティング環境”“消費者傾向”という3つの視点からとらえた場合、まず市場環境では景気の悪化によりコストの削減を求められる。また、マーケティング環境においても予算削減が叫ばれ、予算内で実施された施策に対しても厳密な効果測定が求められている。さらに、消費者の趣味趣向は多様化し、自ら情報の取捨選択できる力を得た消費者は、企業からのアプローチを邪魔に感じるようになっている。
こうした状況下において、多くの企業はマーケティングROIを最大限に高めなければ企業目標を達成できないと感じているにもかかわらず、消費者に受け入れられるマーケティングの形が見えないという悩みを抱えているのではないだろうか。
佐藤氏は、製造業では厳格なコスト管理でROIを高める手法がとられているが、マーケティングの領域にはまだ十分にその考えが浸透していないとし、「逆に言えば、製造業で成功したような化学的なアプローチを取り入れていけば、まだまだ生産性を向上させる余地があることを示しています。ただツールとしてIT技術をマーケティングに採り入れたからと言って、すぐにマーケティングROIが上がるわけではありません。そこで弊社はマーケティング自体を科学し、数理的データに基づく合理的なアプローチをマーケティングに取り入れ、ROIを最大化することを考えています」と語る。
ビジネスシーンでのデータマイニングとは、膨大なデータの中からビジネスに役立つ気付きや知識を宝のように発見、採掘することであり、マーケティングの正解を教えてくれるものではない。数理的なマーケティング活動を行うためには、次の5つのステップを順次実施し、PDCAサイクルを回していくことが、データマイニングの真価を発揮するためには重要となる。
- 顧客へのアプローチおよびレスポンスのトラッキング
- マーケティングに有用なデータの蓄積
- データマイニングなどを利用したデータの分析
- 顧客への最適なアプローチの計画
- 顧客への最適なタイミングでの適切なオファーの実行
講演内では、この中の3番目~5番目のステップ、特に“データマイニング”“キャンペーンの管理”“レコメンデーション”の3つに着目し、実践方法についての説明が行われた。