レポート作成時には「視覚化」「施策の履歴」に気を配る
このようにして解析していった結果を、どのようにレポートにまとめていくか、ある化粧品会社のサイトの例を取り上げてみましょう。
どんな化粧品が売れているのか、前月と比較した売上データのほかに、ユーザーの集客経路によって、UU・セッションがどう遷移していったかというデータをまとめていました。直接訪問、外部サイト、自然検索、一般広告、メルマガから、それぞれどれくらいのセッションがあるのか。経路別にコンバージョンに至るまで、どこでどの程度の離脱が起きて、最終的にどれくらいの購入件数があったのか。ツールだけでは、経路別の推移をまとめきれないものですから、一覧性を持たせるところを私どもで資料にしました。
レポートを作成する時には、グラフを使い、視覚化することが重要です。いろいろなアクセス解析ツールが視覚化するところに工夫していますが、納品先の企業内で流通してもよいように視覚化して分かりやすくするところには気を配っています。
例えば、リスティング広告のキーワード分析です。このサイトでは、「シミ」とか「たるみ」というキーワードの直帰率が高かったのです。ということは、この化粧品会社のブランドが持っているイメージが「シミ」「たるみ」に直結していなくて、リスティングから集客はできるけど、成果に結びつきにくいと考えられます。一方で、「保湿」といったワードでは成果が出ているので、新たに「保湿」ワードに投資をしようかと検討する余地が生まれます。
こうしたワードの評価をするために、バブルチャートを使って視覚化しました。そうすることで、「集客はできるけど購入につながらない」ワード、「集客はできていないけど購入につながっている」ワードがひと目見て分かります。インターネットのことに詳しくない顧客のマーケティング担当者にも、納得してもらいやすくなるわけです。
ほかには、どんな施策を打ったのか、履歴をしっかりとプロットすることも大切です。CVRが上がったり、コンバージョンが増えたのは、どんな施策が効いたのかを社内で共有するためには、記録を残しておく必要があります。
例えばある月には、いろいろな媒体のメルマガに広告を出しました。購入件数は増えるわけですが、投資対効果で見ると効果があったと言えるのかとか、媒体ごとに効果があったかどうかをレポートにまとめます。「こういうメルマガの施策を打つと売上がガツンと増える」といったノウハウは記録に残しておきましょう。
PDCAを回して失敗も次の施策の糧に
化粧品サイトの事例を続けますと、ポイントサイトへの広告展開も行いました。あるポイントサイトからは3万4000のアクセスがありましたが、3万アクセスは成果につながらずに出ていってしまいました。
原因を調べてみたら、競合ブランドもそのポイントサイトに出稿していたんです。競合ブランドに流れたユーザーもいるでしょうから、ポイントサイトを使うにしても、ほかの競合製品との兼ね合いもあるわけです。
そう考えていくと、アクセスが集まっても購入に至らなかった最大の理由は、製品自体の魅力が足りなかったのではないかという仮説に至ります。価格に値ごろ感がないのではないか、といった仮説も考えられますが、そこから先はログだけでは分かりませんから、ユーザーにヒアリングしてみました。その結果、やはり製品の魅力が足りてなかったという結論になったのです。ポイントは十分に付与していたので、ポイントは魅力に感じてもらえてアクセスは集まりましたが、購入には至らなかったというユーザーが多かったわけです。
このように施策が失敗することもありますが、失敗したのであれば、PDCAの中でその施策は何が問題だったのかというのをまとめ上げて、次の施策につなげて行くことが重要です。
私どもの仕事は、アクセス解析ツールで分析し、データを視覚化してレポートにまとめ、問題個所を見つけ出して原因について仮説を立て、そこに予算を投じて集中的に直して行くことです。
そういうやり方で、これまで成果につなげてきました。実際にこの化粧品会社では、月に数百万円の売上だったのを、今では1500~1800万円くらいにまで増やすことに成功しました。
細かい分析を重ねながら改善をしていくことで、収益の出るサイトに近づけられるのだと思います。皆さんもぜひ、さまざまなアクセス解析ツールを活用して、売上アップにつなげてください。