魅力的な広告出稿先として成長したiPhone
このように、iPhoneは2009年を通じてマーケターが注目すべきプラットフォームへと成長してきた。プロモーションの展開先として、最早無視できない存在になってきている。主なユーザー層がトレンドセッターであるという以外にも、iPhoneに注目すべき理由はいくつもある。
1つには表現力の豊かさ。例えば、AdMobが提供する広告フォーマットの1つ「キャンバス広告」は、iPhoneの画面上でタップされるとバナーの表示スペースがスライドダウンで広がるようになっている。広告内から1タップで地図の表示や動画再生のリンクに誘導したり、商品検索をさせて購入ページに飛ばしたりと、さまざまな表現が可能だ。完了ボタンを押すとバナーが縮んで元に戻るため、媒体側にとっては広告からユーザーを外に飛ばさなくて済むというのが1つのメリット。ユーザーから見ても、広告をタップして別サイトに飛んでしまうことを恐れなくても良いため、クリック率も高い。

さらに言えばユーザーの主なiPhone利用目的をカテゴリ別に見てみると、音楽、検索、ニュース、動画閲覧、地図がトップ5。この傾向からユーザー体験を考慮すると、動画広告や検索バナー、地図を活用した店舗誘導やtwitterのフォローに誘導する広告などが非常に有効だという。
「ここまでの性能になると、ファッションや化粧品の店舗誘導から、不動産の資料請求、ECサイトやエモーショナルなブランド構築まで、あらゆる目的の広告に対応できます」
欧米ではこうした豊かな表現力を活かし、ブランディング目的の広告展開も活発に行われている。老舗の宝飾ブランドが高額所得者向けにリッチな広告表現でブランドを訴求したり、ファストフードや家電メーカーが顧客との高いエンゲージメントを期待して、iPhoneのプラットフォームに飛びついている。日本でもそうしたiPhoneの広告プラットフォームに、広告主や広告会社の期待が高まっていることを実感する、とラーゲリン氏は言う。

「最近になって、色々な広告会社さんから昨年の広告費が発表されていますが、モバイル広告は各社飛躍的に伸びているようです。日本のユーザーの半分以上がモバイルでインターネットにアクセスしているのですから、モバイル広告のユーザー体験がもう少し向上していくよう、私達も努力していきたいと思っています。また、スマートフォンはこれまでの携帯電話に比べて、圧倒的に表現力があり、ターゲットされたユーザーがそこにいるため、これまでモバイル広告に出稿してこなかった広告主さんにも新しく始めていただけると思っています」
アメリカでは、2009年末にMicrosoftがAdMobが提供するiPhone上の広告枠を利用して大々的にWindows7のプロモーションを行ったという。今まで、PC関連の広告はモバイルでの出稿が少なかったが、iPhoneの登場によって新たな動きが起こり始めている。
