モバイルサイトに取り組む企業は増えてきているが、その実例が紹介される機会というのはまだ少ない。それゆえどのように取り組むべきか、その活用方法について悩んでいる企業も多いのではないだろうか。 そこで今回は、PC・モバイルと合わせて約770万の会員を集める「コカ・コーラ パーク」を中心として、モバイルサイトをプロモーション活動に積極活用している日本コカ・コーラ株式会社の事例に迫ってみよう。同社のマーケティングオペレーション インターラクティブ・マーケティング統括部長である江端浩人氏に、同社のモバイルサイトに対する取り組みから、モバイルをプロモーションに活用する上で求められる要素などについて聞いた。
モバイルの利用増加を見越し、PCとの垣根をなくす
江端氏が現職に就任したのは2005年のこと。同社はモバイルサイトの黎明期から、モバイルサイト「コカ・コーラ モバイル」を立ち上げたり、自動販売機の電子決済ができる独自マネーの開発に取り組んだりするなど、さまざまな取り組みを実施していた。しかし当時はPCがインターネットを牽引している時期であるため、モバイルサイトの注目度自体は今ほどには高くなかった。またWebサイトの展開も現在と異なり、消費者に向けたものというよりも投資家やマスメディアに向けた情報提供が中心であったという。
だが江端氏は当時からモバイルサイトの成長性に関心を払っていたという。とりわけ、2006年に開始される番号ポータビリティ制度(MNP)によってユーザーがキャリアを移行することから、キャリアをまたいでの利用ができない公式サイトよりも、3キャリア共通で利用可能な一般サイトを利用するユーザーが増えるのではないかという考えを持っていた。それによりキャリア各社がパケット定額制を充実させ、音声よりモバイルインターネットを主体としたサービスを打ち出すだろうという予測を立てた。結果、モバイルインターネットの優先順位が上がり、PCとモバイルという垣根は低くなっていくのではないかと思っていたのだという。
そこで江端氏は、モバイルサイトへの取り組みを積極化。まずはPCとモバイルの垣根を取り払い、どちらでも同じ情報を提供できるよう、バラバラになっていたPC・モバイルサイトを全て一本化して「コカ・コーラ パーク」という会員制ポータルに消費者とのコミュニケーションの受け皿を統一。入り口が違っても同じ内容で利用できるようにした。またWebサイトの入り口や会員のデータベースを1つに統合したことで、例えばコーヒー飲料のWebサイトを見た後、同社のお茶飲料のサイトを見に行くといったように、競合他社のサイトではなく自社サイトを巡回するよう“横串”の展開を可能にしたという。
こうした一連の取り組みによって、各個別のブランドサイトも含めたページビューも2001年には全体で約2億程度であったのが、2009年には約42億にまで拡大。ユーザーの比率も、2005年当時はPCとモバイルの比率が9:1であったのが、現在では4:6となるなど大きく変化しているという。


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佐野 正弘(サノ マサヒロ)
エンジニアとしてゲームや携帯コンテンツなどの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターへと転身。若者のケータイ文化からスマートフォンまで、携帯電話に関する多くの著書を手がけるほか、講演やテレビ等へのコメント等も行っている。近著に「Touch Diamond&Touch Pro 入門ガイド」(翔泳社)、「ケータイで稼ぐアフィリエイト 最新情報版」(技術評論社)など。
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