SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

真説! ソーシャルメディアマーケティング

口コミの数だけ見ていませんか? ― オンライン上で正しい口コミ分析を行うための3つのステップ


Case Study:「JAL」と「ANA」 ~ なぜバズボリューム分析だけでは不十分か?

 これは定量的に調査を行ったわけではないが、筆者が思うに、一般的に企業が口コミ分析を行う際、その主な目的は「バズボリュームのトレンドを見て話題性(主に広告効果測定としての意味)を図る」という場合が多いのではないだろうか。

 しかしながら、バズボリュームは多ければ多いほどいいというわけではなく、センチメントの観点から見て、それが企業にとってポジティブな意味を持つものなのか、ネガティブな意味を持つものなのかを分析することが必要不可欠である。

 今回、例としてJALとANAのバズボリューム、およびセンチメントをトレンドで比較してみた(図表9、10)。

【図表9】バズボリュームのトレンド:JAL vs ANA
【図表9】バズボリュームのトレンド:JAL vs ANA
【図表10】センチメントスコアのトレンド:JAL vs ANA
【図表10】センチメントスコアのトレンド:JAL vs ANA

 バズボリュームでは、2009年8月まで両者ともに均衡していた。しかし、2009年9月からJALの経営に関するさまざまなスキャンダルにより、バズボリュームが急増している。また、センチメントスコアを見ると、JALは9月以降、マイナス方向に振れている。センチメントスコアは、口コミに占めるポジティブな割合からネガティブな割合を引いたものである。従って、口コミにおけるレピュテーションがネガティブ優勢になっている状況と言える。

 なお、同時期にANAのセンチメントスコアがポジティブ方向に振れており、競合がトラブルにあるなかANAの方に期待が集まっているという、ある意味、漁夫の利的な力が働いているのが興味深い。

 12月にはJALに対するバズボリュームは減少し、センチメントスコアもほぼ0(ニュートラルポイント)にまで改善しているため、口コミがいったん沈静化したことが読み取れる。

※注2

筆者がこの原稿を書いている直前(2010年1月下旬~2月上旬)に、JALの経営破綻が確定し、口コミは再度ヒートアップしている。

 ここで、バズボリュームとセンチメントの関係性についてまとめてみよう(図表11)。

【図表11】Volume - Sentimentマトリクス
【図表11】Volume - Sentimentマトリクス

 JALのケースでは、図表11の「C」のポジションに位置している。このように、センチメントスコアがネガティブ優勢の状態でバズボリュームが急増している状態は、スキャンダルや企業不祥事のような際には多く見受けられる。もし、通常時でこのような状態に陥っているようであれば、その企業はブランドレピュテーション上、大きな課題を抱えていると言え、短期的にはリスクマネジメントを、中長期的にはレピュテーション改善に対する取組みが必要であることを示唆している。

次のページ
分析担当者をアサインし、分析ツールを選定する

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
真説! ソーシャルメディアマーケティング連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

株式会社アイ・エム・ジェイ(カブシキカイシャアイ・エム・ジェイ)

株式会社アイ・エム・ジェイ

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2012/10/17 10:31 https://markezine.jp/article/detail/9634

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング