ユニセフとのタイアップしてみてはどうかと
この方式の特徴は、災害発生後に、「すぐできること(即時性)」と、「Google側の決済の手間が微小であること」の二つだ。Googleの手間は、災害が起きた直後に、Webページを挟み込み、次回の銀行引き落としの際にユーザーが指定した募金額を足し込んで引き落とせばよい。前編で述べた、NTTの7円徴収の要領と同じだ。
ここで、募金する側として気になるのは、そのお金が本当に被災地に行くのかどうかである。だが、ここでもネットが力を発揮する。募金者には、次回ログイン時に、被災地復興の写真をとって、
募金総額の明細書と一緒に、Webページを作ってリンクを張って見せてあげればよい。
とはいえ、Googleとて私企業。崇高な理念はさておき、お金を集めて、被災地に届けて、写真を撮るのは面倒だと思うかも知れない。
ここで餅は餅屋。ユニセフの登場である。
Googleは、ユニセフとタイアップすれば良い。募金の被災地への送付、結果レポートの報告、Webページ作成などは、すべてユニセフに運営してもらってはどうかと。
ビジネス上の概念としては、「Googleは、アドワーズ広告使用者がログインしたときに表示するポップアップ広告の枠を、ユニセフにゼロ円で提供する」ということになる。
ユニセフに実務オペレーションを任せれば、Googleの負担は減る。また、ユニセフは、募金を集めるための、大規模なダイレクトマーケティングが、広告費ゼロ円で展開できる。
しかし、もしかするとこのネット方式よりも、新聞広告やダイレクトメールの方が、募金集めには向いているのかも知れない。アドワーズ広告を出すメンタリティと募金をするメンタリティが合致しているかどうかは不明だ。
だが何と言っても広告費ゼロ円は大きい。考えようによっては、新聞広告やDMを打つ費用があるのなら、そのお金自体を募金に回した方が良いともいえる。
Googleとタイアップすれば、それができる。仮に募金収集額が少なかったとしても、募金収集にかかる費用(販売管理費)が少ないので、最終的な募金可能額(最終利益)は、多くなるというわけです。
今回は、アドワース広告の出稿者(つまり企業担当者、中小零細企業の経営者、個人事業主)を対象として、枠組みを考えた。だが、話は何もアドワーズに限る必要もない。Googleは今後、さまざまな形で、新たなしくみを考えていくだろう。そうしたしくみが増えるならば、今回、試案として出した方式を使って、より多くの募金が集められるであろう。
また、今回、Googleとユニセフを例に出したが、別にそれらでもなくとも、同じ構造を持つネットビジネスや団体においても、この枠組みは転用可能かと思う。
さて、Googleについて述べたからには、もう一方のロングテールの雄、Amazonについても述べてみたい。Amazonのマーケティング手法「この本を読んだ人はこんな本を買っています」も、チャリティへの転用が大いに可能ではないかと考えている。