同心円のモデルをつくる
四家
一方でECを絡めた
関心空間のユーザコミュニティモデルでは、
スノーピークの事例がありますよね。ちょっと軽く特徴を説明していただければ。
前田
スノーピークは世界15カ国で販売されているアウトドアメーカなんですが、商品の価格が割合高めなのですが、ブランド信奉者が多い。
四家
モノが魅力的なんだ。
前田
そうですね。ただその質を伝える人がなかなかいない。つまり量販店の店員が正確にその質を伝えたり、アウトドアをライフスタイルから語る次元でプロモーションはしてくれないし、その啓蒙コストは結構高い。
四家
ふつうに広告したら大変ですよね。なかなかペイしない。
前田
そこで顧客の中にいる質の高いユーザをエヴァンジェリストにしたいというのが関心空間導入のきっかけなんです。
四家
なるほど。
前田
実際に、雑誌に定期的に投入している広告からの認知経路とは全く別のユーザが関心空間を通じてECの会員になり、それまでと違うユーザ登録数の増が見られました。
四家
そこには、コミュニティ空間としての居心地の良さと、荒れにくいから管理コストが低いというツールとしての使いやすさが機能しているはずですよね。掲示板じゃ無理なわけで。
前田
そうですね。小さな会社だとコミュニティの専従者などいないので、1万人のコミュニティを1名で面倒を見なくてはならない。でもスノーピーククラブという関心空間は十分行き届いた空間になっている。
四家
すごいことですよねえ。
前田
これはひとつの成果なので、CGMとしてよりECや広告と連携したプラットフォームとしていろんな事例をつくりたいと思っているんですよ。
四家
なんかね、同心円のモデルなんだと思います。企業があって、ファンがあって、ユーザがあって、市場がある。ピラミッド構造というより同心円で、企業が消費者に取り囲まれている。
前田
ああ、そのイメージあります。私も。
四家
ひとつの言葉で商品をくくって、いきなりあるエリアをがっつりと取りにいくのが従来のモデルで、好きな人を集めて、可視化して、次の好きな人を取り込んでいくモデルというのか、真ん中に行けばいくほど濃い仕組み。
前田
ふむふむ、Appleが音楽で儲けている状況も似ているかな。
四家
ああ、そうですよね。
前田
機能よりデザイン、ファッション性の方がAppleのバリューだったと。これは言い過ぎかな(^^;
四家
まあ機能とファッションは一心同体で、iPodの最高の成功ポイントは、ユーザインターフェイスのデザインだと僕は思っています。
前田
Appleらしいですよね
四家
ぎりぎりまでボタンを少なく、しかも未来的にした。そういう特異な商品でファンを組織化して地盤固めたところで次にはテレビCMにでてくると。
前田
また映像もデザインされてるし
四家
そこはもうばっちりなんですが。あれも、ユーザが作り出したファッションの上に作られているイメージなのかなと。iPodは見せびらかすもんだからバイラルするんですよ。自社でCGMをつくらなくても。
前田
そうそう、ヴィジュアルバズってやつですよね
ユーザに関心空間のCMを作ってもらいたい
四家
で、CGMをマーケティングで活用するヒントもそこにあって、KENZOのモデルもスノーピークのモデルも、発展させていくと、コミュニティで作られた、可視化されたさまざまな多様なイメージをというか価値を、テレビみたいなマスに載せて広げていくモデルはできるんじゃないかなと。
前田
ああ、ウチもユーザに関心空間のCMつくってもらえないかと思っているんですよ。CGMの会社なんだから、CGMにブランディングしてもらう(笑)
四家
おお、面白い!YouTubeで!
前田
ああ、いいですね。どんどんヴィジュアルバズになって欲しい。
四家
それで関心空間そのもののブランディングを成功させたら、次はクライアントつきますよ。KENZOなんかそのままできるし。
前田
そうですね。商品発表の前とかにやると面白いかも。
四家
ユーザの作ったムービーをテレビに流してまた関心空間に誘い込む、関心空間というCGMにテレビを連動させたBRAND2.0企画。もうできちゃったな、これは。
前田
(笑)
四家
ご興味のある方は四家までご連絡ください(笑)。というわけで、例によって話はあっちこっちに飛びまくったんですけど、酔っ払って忘れてしまうのはかなり惜しいくらいの価値のある遊談になったかと思います。ありがとうございました。