SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Autumn

マーケティングメトリックス研究所出張版

知ったかぶりをしていませんか?
いまさら聞けないCTRの本当の意味


餌はそれでよかったか?≒クリックをしてくれる表現だったのか?

 魚がいるところに糸を垂らしていたとしても、間違えたルアーには食いつきません。興味関心にマッチしているか、それが表現されているかといった、表現素材の善し悪しによってCTRも大きく変化します。

 氾濫するネット広告を生活者が無意識にさけるバナーブラインドネスという現象も報告されており、どれだけ目立たせるかではなく、「あなたにとって有益な情報がここにある」ということを一瞬でどれだけ感じさせることができるかがポイントになってきています。

 さて「餌はそれでよかったか?」を分析するためのポイントは、場所は同じで餌だけ変えた場合、つまり、同じ媒体・メニューで異なる表現のものを比較すればよいでしょう。いわゆるA/Bテストです。多くの広告メディア(アドサーバー)・リスティング広告でもスプリットラン(自動でCTRの良い方をより多く回す)に対応していますし、多くの効果測定システムもこれに対応してます。

 ただし、表現素材のバリエーションには限界があるので、A/Bテストの結果は分かっても、なぜそれが良かったのかが分かりにくく、次につながりにくいという話もお聞きします。

 幸いなことに、これに関しては、解決策が少しずつ見えてきています。よく釣れるルアーと釣れないルアーの色、形、柄を分類・比較してどの組み合わせが良かったのか、どの要素が貢献したのかを統計手法を用いて計算することが可能です。

 また実験計画法という方法を用いれば、本出稿の前に実験的なプレ出稿で最適な表現を組み立てることが可能になります。バナー素材だけでなく、リスティング広告のタイトル・説明文に関しても、最適化の手法である遺伝的アルゴリズムを用いて最適解を求める方法もマーケティングメトリックス研究所では考案しています。ここでは割愛させていただきますが、詳細については当研究所のHPをご覧になっていただければと思います。

 もちろん、総合的に判断するには、CTRだけでなく、コンバージョン数、CPA、ROAS、間接効果などの指標も考慮すべきですが、入り口であるCTRがボトルネックになっている場合も多いです。ここを改善することで全体のパフォーマンスが上がることを何度を見てきた経験があります。

単純明快にはじき出される数字の背後を考える

CTR=クリック数÷インプレッション数。この単純明快な計算式というのが、かえってコトを複雑にしているように思います。

 「計算から導かれる数字」なので、なんだか高尚で“絶対的”な存在に感じてしまうきらいがありますが、人間の解釈が伴わなければ、ただの“数字”でしかありません。これまで紹介してきた通り、CTRには2つの意味が含まれていますそれを意識して、次につなげるための正しい解釈を行っていただきたいと思います。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
マーケティングメトリックス研究所出張版連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

中川 斉(ナカガワ ヒトシ)

1968年生まれ/早稲田大学卒。

コンサルティングファーム・広告会社にて、統計解析・データマイニングを軸にしたマーケティングプランニング業務に従事。専門的なデータ分析のスキルと高度なマーケティングの知識・経験の両方をバランスよく持つ稀な存在であり、近年ではマーケティングテクノロジーの開発、利用啓蒙にも一...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2010/06/09 11:04 https://markezine.jp/article/detail/10189

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング