【注:編集部からのコメント】
この記事は、8/2 12:00に公開後記事内容に誤りがあったため、内容を訂正し再公開をしております。
正しいPDCAサイクルは回せているのか
「広告費の半分は無駄だとわかっているんだが、どっちの半分が無駄なのかが分らない」とは、アメリカの実業家である、ジョン・ワナメーカー氏の言葉である。彼の言葉が指し示すように、マーケティングにおける“効果に対する説明責任”は、これまで100年の課題とされてきたが、近年インターネットの出現により一変したと言われる。
たしかにユーザー行動に関するデジタルデータが簡単に入手できるようになったことで、仮説や効果の検証が容易になったのは事実。しかし、データを収集できたからといって、正しいPDCAが行われるようになったと果たして言えるのだろうか。
その状況に対して、株式会社ビービットの取締役である武井氏は「あるべき姿なのか疑問が残るケース、さらには完全に間違ってしまっているケースもある」と指摘。さらに、「経済が右肩上がりの時代には、投下したら投下しただけ効果はあがる。しかし構造不況、人口減など、下向き社会において、コスト削減と効果維持の両立が求められる、まさに今、マーケターは企業の生き残りをかけて、ROIの継続的な向上を担わなければならないため“正しいPDCAサイクル”の確立が急務となってきています」と語った。
では、この“正しいPCDAサイクル”を実現するには何が必要なのか。武井氏によるとポイントは2つあるという。
「1つはユーザーを中心に考えること、もう1つは、PDCAをPlan→DoとCheck→Actionの2つに分けてとらえること。Plan→Doでは、ユーザー理解に基づき、骨太の行動計画を作成し、Check→Actionを繰り返しながら、少しずつ伸ばしていくのです」
Plan→Doのポイントは“ユーザー理解”
Plan→Doにおけるポイントとして武井氏は“ユーザー理解”というキーワードを挙げる。その理由を時代背景とメディア特性から解説した。
「以前、とある大手飲料メーカーの社長さんにうかがった印象深いエピソードがあります。1960年代は1つの工場で4商品をつくっていれば市場のニーズは満たせたが、今は25商品をつくらなければならないのだと。かつて、マーケティング担当者は自分が欲しい商品をつくれば市場が買ってくれました。しかし、ニーズが多様化した今日、マーケターは自分自身とユーザーを同一視できない、つまり経験に基づいた判断がしづらい状況にあります」
お客様が欲しがっているものがわからない…そんな今こそ、ユーザーをしっかりとらえることが必要になってくるというわけだ。
「例えば、ネットメディアユーザーの場合、能動的に利用するため自分の目的を達成するまで一種の視野狭さくの状態となります。そのため、どんなに大きなバナー広告があったとしても、隣接した情報に目もくれないでしょう。また、Twitterやmixi、ブログなどを見れば分かるように、情報の主導権が企業からユーザーへ移行しています。このように、インターネットはそもそもユーザー中心の世界なのです」
インターネットの特性から考えても“ユーザー理解”の重要性は一段と増してくるのは当然というわけだ。また、ユーザーの囲い込みについても、武井氏は次のように言及する。
「ユーザーを囲い込みたいという考えはナンセンスです。囲い込まれている状態は、単にユーザーが選んで留まっていてくれていると考えるべきです。それよりも、ユーザーに選ばれるサイトになることが大切です。選ばれるサイトが最終的なビジネス成果を掴むのです」