“ユーザー理解”に基づくプランニングの3ステップ
次に武井氏は“ユーザー理解”に基づくプランニングについて解説。その方法として、ユーザーターゲティング、ユーザーシナリオのデザイン、調査による精緻化を3ステップとして挙げた。

「意外に、ユーザーターゲティンがしっかりとできていないサイトは多いです。『より大きな成果をあげたいからより多くのユーザーをターゲットにする』では、どのユーザー層にも意識が払われず、思考停止に陥ってしまう。まずはきちっと定義することが大切です」ここから、武井氏は事例を紹介。
とある大手メーカーの業務システムの販促サイトにおいて“正しいPDCAサイクル”を導入したところ、資料請求を12倍に引き上げることに成功。大きなビジネスインパクトをもたらしたという。導入前のヒアリングにおいて、この商品のターゲットは“ある程度の企業規模の情報システム部門の担当者”としていたが、本当にそれだけなのかと、ディスカッションやデータ分析を繰り返した結果、10程度に再定義することになった。
ここでは簡略化し、
- A:メーカーブランド信頼ユーザー
- B:指名買いユーザー
- C:各業種・業務のソフト探しユーザー
- D:比較サイトで検討ユーザー
とするが、状況が違うとおのずとニーズや行動が変わり、コミュニケーションが変わってくるのが分かる。
ターゲットが定義できたら、次はシナリオデザインだ。どういう人がどんな状況でどんな心理でいるのかを調べ尽くし、サイトのゴールにいたるまでの誘導施策を設計する。
例えば上記図内でいう、メーカーブランド信頼ユーザーであれば、
- 社名で検索して流入してくる
- 検討の初期フェーズで調べ始めたばかりで、ERPパッケージシステムについてあまり詳しくない
と想定されるので、ゴールはセミナー申し込みに設定する。資料請求よりも、勉強してみてくださいという提案の方が受け入れらる可能性が高い。このようにコミュニケーションシナリオを組み立てていく。
最後が、シナリオを成立させる、コンテンツ、ページ構成についての調査である。「グループインタビュー、アンケートでどんなコンテンツが欲しいかと尋ねる場合がありますが、大抵あまり参考になりません。重視すべきは、意見ではなく、行動」

お客様に答えを求めるのではなく、あくまで答えを見つけるのはマーケターの仕事だと主張した。