ソーシャルメディアのガイドライン策定に成功
一方、ベネッセではソーシャルメディアをどう捉えているのだろうか。
まず、顧客にクロージングする際のモデルとしてベネッセが意識しているのは「モチベーションを付けること」。同社が得意とする教材は、自分がなりたい像やがんばる動機がないとサイトに入ってもらえないからだ。
また、商品を体感した読者が新たな顧客に購買の動機付けを与えるといった、ソーシャルメディアならではのシナジー効果も重視している。

ただし、ソーシャルメディアは顧客が主体であり、自主的運営ができないというボトルネックを抱えている。つまり、炎上という事態が起こり得る。そこで、ベネッセでは「ソーシャルメディアのガイドライン」を独自に作成した。ポイントに据えたのは、次の3点だという。
- 公式ガイドラインを作ること
- お客様が間違えない環境を整備すること
- 使用する個人の注意事項
ガイドライン策定にあたり、日本には良い事例がなかったため、ソーシャルメディア活用をはじめている、海外100社をピックアップ。その中から、30社をベンチマークし、本格的な調査を行った。
経営会議も3回開き、炎上のリスクも含めた徹底的ディスカッションを展開。最終的に20項目15ページ程度の公式ガイドラインが完成した。また、公式アカウントを開始するための申請フローなども整備し、運営時のプラットフォーム別アドバイスや、法人ではなく個人として利用しているアカウントでの注意点など、さまざまなエッセンスを入れた教育用のコンテンツも用意したという。経営陣も認めるガイドラインが作成できたことで本格的に攻められる、と豊岡氏は意気込む。
最後に豊岡氏は本講演の要旨を次の3点にまとめた。
- 事業モデルに応じたネットマーケット戦略の立案・遂行
- 施策ポジショニングの明確化、および伸ばすべきものと縮小するものの見極め
- 顧客コミュニケーションの継続的な最適化
ソーシャルメディアに企業としてどう取り組んでいくのか。聴講者の最大の関心ごとであるこの問いに、豊富な実践に基づいた本講演は多くのヒントを提供した。