Q. 芸能プロダクションとの折衝は一般的には敷居が高いイメージがありますが?
確かに敷居はもの凄く高いです。しかし、信頼関係と事業に対する熱意が大切だという点は、他のビジネスと同じだと思います。もちろん、プロダクションへメリットをきちんと提案できるということは前提としてありますが。
基本的には、人と人の信頼関係が1番大事だと思います。日頃のコミュニケーションの積み重ねしかないですね。逆にいえば、単純にお金を支払って、今日明日にできる事業ではないので、他社の参入が難しいということもあると思います。
Q. 芸能プロダクション側にとっての、サイトへの参画メリットは具体的にどういった点になるのでしょうか?
所属タレントのプロモーションに利用できることだと思います。自社のサイトや、タレントさんのブログ以外で、イベントや番組出演の告知ができる場所をプロダクションは常に探しています。
弊社のサイトでは、参加者のTwitterでのコメントをリアルタイムで表示したり、出演情報やプロフィールなども掲載しています。
プロダクションから情報をいただいて、メルマガなどでお知らせすることも今後検討しています。
Q. 特に成功した事例を教えてください
人気タレントの山本優希さんや木下優樹菜さんが御結婚した際には、アクセスが飛躍的に伸びて、サーバーが落ちそうになりました。その時は売上も良く、過去最高額で落札していただけました。
その他にも、タレントさんのブログやTwitterからのコンバージョン率が非常に高いのも、サイトの特徴です。
Q. 競争優位性や他社との差別化のポイントはどのような点にありますか?
圧倒的なタレント参加数と、常設のオークションという点です。
ファッション雑誌やタレント事務所とのコネクションの強さは、他のサイトより勝っていると思います。常設でオークションを実施しているサイトは弊社だけなので、その点も差別化になっていると思います。
今後は、その優位性をさまざまな企業との商品開発や、プロモーションにも活かしていければと考えています。実際に、企業からのお問い合わせもいただいており、今後そういった派生ビジネスへの発展を検討しています。
Q. ギャルオクはいわゆる「ギャルマーケット」が対象だと思いますが、ギャルマーケット攻略のポイントを教えてください
企業秘密なところもあって、あまり詳しくはお話できませんが、マーケテイングに尽きると思います。弊社では、モニター会員や雑誌社と直接のコネクションがあり、ギャルの実態をリサーチできる強みがあります。
常に鮮度の高い情報を求めているギャルと同じ、もしくはそれ以上の情報を持つことが大事だと思います。
Q. 具体的にどのようなマーケティングをされているのでしょうか?
具体的には、ギャルの1日の行動パターンを把握するようにしています。生活にあった最適なアプローチが必要になるので。
携帯電話を使って何をしているのか? 友人との話題の情報源は? 雑誌は何を読むのか? どこで買い物するのか? 財布の中身はいくらなのか? など、モニター等で得た情報を分析し、施策を打っていく事が大事だと思います。
ブログやTwitter、FacebookなどのSNSにおけるコミュニティなど、テレビだけではない情報ソースが非常に多いので、細かく分析をすることが重要です。
しかも、流行は常に変わるので、追いかけていくのは本当に大変です。そうした情報を分析し、企業と共同で取り組むことで今後さまざまな施策を展開していきたいと考えています。
Q. 事業をすべらせないためのコツは何でしょうか?
「人がやっていないことをやる」ことではないかと思います。
オークション自体は昔からありますが、24時間365日のタレントオークションというラインナップは、他にはありません。オンリーワンであることが大事だと思います。
時間が経つにつれ、他社も参入してくるとは思いますが、先行しているというアドバンテージは大きいと思います。資本力では負けるので、企画力とベンチャー魂で頑張りたいと思います。
Q. 今後の目標を教えてください
出品者や参加者をもっと増やして、日本一の社会貢献型タレントオークションサイトにするのが目標です。
そして、このサイトを通じて、気軽に社会貢献活動へ参加できると気づいてもらえるきっかけなれば幸いです。社会貢献というと重い印象がありますが、皆ができるところから始めれば世の中が変わると信じています。やらないよりは、やった方がましだと思います。
人に優しくなれる社会作りのお手伝いができれば最高ですね。
インタビューを終えて
三笠氏が言うように「人がやっていないことをやる」という事は、事業をすべらせないための選択肢の1つではある。しかし、ECでスタートした事業での気づきをヒントに、オークション事業へ転換するという三笠氏のようなフットワークの軽さは、できそうで実はなかなか真似できるモノではないだろう。
ベンチャー事業にとってリソースの選択と集中は大事なことではあるが、「気づき」をヒントにさらなる商機を見出し、事業ドメインの大幅変換を行うという経営判断の速さと軽さは、アーリーステージの企業にとって事業の選択と集中と同じくらい重要ではないだろうかと、三笠氏のインタビューからは気づかされた。