決済手段や購入時間帯はどう変化した?
同様に、ユーザー層が影響を与えている要素に決済手段がある。PCではクレジットカードによる決済が一般的だが、モバイルではクレジットカードの所有が難しい若年層の利用が多いということもあり、“代引き”が最も一般的な決済手段となっているのだ。
この傾向は現在も変わらないようだが、最近では他の決済手段も伸びてきているようだ。それはいわゆる“キャリア決済”で、若年層であってもクレジットカードと同じ感覚で利用できること、それでいて上限が定められており“使いすぎ”がないという安心感があることから、人気が高まっている。決済のおよそ半数は代引きであるというが、モールによってはキャリア決済がかなりの割合を占める所もあり、それは主に代引きから移行したものが多いとのことであった。
モバイルコマースは衝動買いが購入動機に大きく影響することから、人気・流行の商品に人気が集中する一方、トレンドが移り変わりやすいのも特徴といえる。基本的な商品の入れ替えは季節の移り変わり、つまり四半期ごとになるというが、テレビで紹介されるなどして特定の商品が急に人気となることもある。それゆえいかにトレンドをキャッチし、在庫を確保し、露出を高めていくかという点には気を使っているそうだ。
またこうした事象は熱しやすく冷めやすい、つまり短期間でブームが終結する傾向がある上、ターゲットが限られていることが多い。どのような層でどのような事象が起きているのか、見極めが必要だという。
ちなみに商品が購入されている時間帯は、主に昼と夜になるとのこと。特に夜間、20時〜翌0時辺りがピークになるというが、最近ではそれよりやや遅い時間、大体2時くらいまで続くこともあるそうだ。

NTTドコモのキャリア決済で購入できる商品・店舗を揃えている
ユーザーの購入経路はブログや検索が主体に?
購入に至る経路にも変化が見られるようだ。中でも最近増えているのが、“ブログ”経由で購入に至るケースとのこと。モバイルの世界では、こと若い女性に“ケータイブログ”の人気が高まっているが、これがコマースサイトでの購入に大きく結び付いているのだという。
若い女性に影響を与える“カリスマブロガー”や、ファッション誌の“読者モデル”が開設しているブログには、身につけている服や身につけているアイテムが紹介されているが、そのアイテムが購入できる購入サイトにリンクが張られていたりすると、そこでの購入数が跳ね上がるのだという。身近で人気のある存在であるブロガーが、購買に最も大きな影響をもたらしているようだ。
Webからの動線という意味では、ブログ以外にも、キャリア公式のポータルサイトから安定して流入があるという。だが最近、別の経路からの流入比率も高まっている。それが“リスティング広告”だ。これはユーザーの検索サービス利用が高まり、“この商品を買う”という目的を持ってキーワード検索し、そのまま購入に至るというケースが多くなったことが影響しているのだそうだ。特に初めてモバイルコマースを利用する人は、リスティング広告から流入してくるケースが多いという。
他にも、以前はPC主体だった“テレビで紹介された商品を購入する”というケースも、最近ではモバイルの比率が高まってきているとのことであった。一方で、Webサイト内で滞留し、ウィンドウショッピングする人はヘビーユーザーに限られるほか、比較検討が必要な商材、例えば家電などの販売はやはり伸びづらいという。購入に至る経路には変化があるものの、すぐ欲しいという“衝動”が購買に強く影響するというモバイルコマースの傾向は変わっていないといえよう。
最初の利用に抵抗が強いが、一度利用すると継続して同じショップやモールを使い続ける傾向が強いというのも、モバイルコマースの特徴の1つだ。それゆえディー・エヌ・エーでも、最初の障壁をいかに低くするかということに対して積極的に取り組んでいるという。同社はモバゲータウン内にも公式ショッピングモール「モバデパ」を設けているが、そこではショッピングの購入額に応じてモバゲータウンで流通している「モバゴールド」「モバコイン」などが得られるサービスを提供している。これによってモバイルコマース利用の最初の障壁を低くし、“衝動”を“継続”へと結び付けるための取り組みを進めているそうだ。

商品の購入でモバゲータウン内の仮想通貨が手に入るなどのサービスを提供し、
ショッピングへの障壁を下げている