キーポイント(2):イベント感を盛り上げる仕掛け
靴下のデコレーションアイテムは豊富に用意され、組み合わせ次第で約100万通りものデコレーションが可能。デコレーションした靴下は、『mixiフォト』でマイミクにシェアできるようになっていた。前述の『mixiボイス』を含め、これらのフィードを見たマイミクにアプリに興味を持ってもらい、自分も使ってみようというきっかけを作るための仕掛けだ。最終的に、アプリ経由のmixiボイス投稿総数は約283万件、アプリからの総フィード数は約3億件以上となった。
「キャンペーン開始から58時間で100万人のユーザーが登録した。これは世界的にも例を見ない。誘導バナーは設置しておらず、社内スタッフが利用して投稿したフィードを起点に、それを見て利用を開始したユーザーのバイラル効果によるものだ。ここまで短期間に広がるとは思っていなかった。私たちの想像の域を超えていた」(新田氏)



また、試験的な試みとして、マイミクのmixi Xmas 2010への参加情報をバナー広告枠に表示するソーシャルバナーを24時間限定で実施。非常に高いクリック率となり、バナーをソーシャル化する、という施策での手ごたえもつかんだという。
「ユーザーがmixiに来る際の大きな理由の1つに、友人の現状や動向を確認するというものがある。そのため、友人知人が参加していれば、広告的な指標も上がっていくはずだと考え、実際に高い数値が出た。ユーザーが楽しめるコンテンツにおいて、こうしたソーシャルの要素をバナーの設計にも応用し、活用していくことは十分可能だと考えている」(新田氏)

キーポイント(3):PCとモバイルのデバイス最適化
mixi Xmas 2010は、PCとモバイルの両方で提供された。PCでは友達の靴下を並べて表示できたり、『もろびとこぞりて』の音楽が流れたりと、豊かな表現でクリスマスムードを盛り上げた。一方、モバイルではクリエイティブの制限がありながらも、その手軽さを活かした最適化がされていた。
「外出先で携帯からアプリを楽しみ、帰りにコンビニでクーポンをもらう、といった利用シーンを想定した。ソーシャルグラフをうまく活用するには、こうした『エモーションの熱さ』を逃さない流れを大事にする必要があると考えている。PCとモバイル両方のアプリを作るのは、全く新しいアプリを2つ作るのと同じくらいの労力がかかるが、PCとモバイルの両方で同じキャンペーンが打てるというのは、世界でも類を見ないmixiの優位性だと言えるのではないか」(新田氏)
このように、「ユーザー同士のコミュニケーションのネタになる仕組み」「ユーザーのアクションを拡散させるための仕掛け」「最適なデバイスの選定」といった点が、今後、ソーシャルグラフ上でうまく機能するキャンペーン設計のポイントになりそうだ。