SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

事例から読み解くユーザービリティ改善の勘所

【事例】SEShopで実験!コンテキストで異なるユーザーの閲覧行動を探る


ユーザー行動は既存のコンテキストにも左右される

 なぜ、このように普段多くのWebサイトを利用しているユーザーでも、タスクを達成できない場合があるのでしょうか? これは、テスト終了後にアイトラッキングのデータを見ながら、インタビューを行うと一目瞭然でした。

チェックポイント1

・年間購読に含まれない7月号も購入するために、「売上ランキング」「同じカテゴリの商品」の中から7月号を探したが、見つからなかったため、検索を利用。

<被験者の声>同じDBマガジンなので関連情報などで掲載されているかなと思ったが見つからなかった。
⇒ユーザーがあわせて買いたいものが関連づけられていない。
関連商品を探しているときの視線の動き。青丸が大きいほど、その部分を注視している。

チェックポイント2

・年間購読申し込みと他の商品の購入が同時にできないことに対してエラー表示がでているが、その部分は読まれずに、「お会計へ」ボタンをクリックしている。さらに、カートの中に1タイトルの商品が入っており、追加した商品が「後で買う商品」に自動で移動させられたことに気づいていない。

<被験者の声>全然気づかなかった。「お会計へ」のボタンを押したら、会計プロセスにすすめたので、カゴに入れた2つの商品を買っているつもりだった。
⇒エラーに気づいていない。後で買う商品リストは、ページをスクロールしなければ見ることができない。
同時購入不可のエラー表示に気づかなかった視線の動き。
青丸が大きいほど、その部分を注視している。

チェックポイント3

・被験者は、このようなECサイトの利用に慣れているので、初めて訪れたSEShopサイトでも他のサイトと同様に買い物ができるだろうと思って、「ヘルプ」などに含まれている「はじめてご利用のお客様へ」の情報には目を通さなかった。

<被験者の声> 普段ECサイトをよく利用するので、普通に利用すれば購入できるだろうと思った。
⇒サイトの利用がはじめてのユーザーが「はじめてご利用のお客様へ」を必ずしも読んでいるわけではない。
Eメールアドレスの入力に気づかなかった視線の動き。
青丸が大きいほど、その部分を注視している。

 ちなみに、今回の被験者の購入プロセスをフロー図にするとこのようになります。

購入プロセスフロー図

 この被験者の場合、普段よく買い物に利用しているAmazonでの経験がECサイトを利用する際の概念モデルとして働いてしまったと思われます。そのため、SEShopが実際に提供するモデル(「後で買う商品」への追加や「同時購入不可」のエラー表示など)には目も触れなかったのでしょう。

 このように、普段利用しているサイトでの経験が事前のコンテキストとしてECサイトの利用経験を規定してしまい、それがエラー表示に気づかないなどの視線の動きとしても現れることがあります。人間の視線は目の前にある刺激よりも、既存のコンテキストに影響されやすいのです。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
事例から読み解くユーザービリティ改善の勘所連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

矢野 絵美(ヤノ エミ)

中央大学大学院理工学研究科で感性工学を専攻。修了後、株式会社ミツエーリンクスに入社。現在はWebアナリストとして、アクセスログ解析やユーザビリティに関するサービスを担当している。これまでに、80社を超える大手企業サイトの診断・コンサルティングを実施している。
日本感性工学会 会員。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2007/07/06 12:15 https://markezine.jp/article/detail/1354

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング