AISASの時代は終わっていない
さて、昨今のソーシャルメディアの台頭により、SIPS(共感する→確認する→参加する→共有・拡散する)という新たな消費者行動モデルが提言されているが、これによって既存のAISASモデル(注意→関心→検索→購買→共有)は不要になってしまうのだろうか。
「『SIPSはあくまでもソーシャルメディアが十分に浸透した時点での、ソーシャルメディアに関与が深い生活者の行動モデルの考え方であり、AISASにとってかわるモデルではない』とあるように、ソーシャルメディアは消費者のメディア関与が一般化したに過ぎない。購買検討プロセスの各段階をつなぐ『検索』の役割が持つ重要性は変わらない」と西谷氏は状況を整理。これまでに紹介した資料からもわかる通り、検索総数が増加傾向にあることを見ても、検索の重要性は変わらないと言えるだろう。
マルチデバイス時代に適した広告運用
それらの状況から、連動検索連動型広告に対する企業からの注目度はさらに高まっていくのではないかと推測できるが、今後の検索連動型広告を運用する際のポイントについて、西谷氏は次のように語っている。
「デバイスごとに、ユーザーの特性は異なっている。現状を把握した上で、自社が注力すべきデバイスに合わせて、正しい仮説のもと、運用を行うべきである」。
このグラフは、検索数の上位5,000キーワードをカテゴリに分類した上で、どのカテゴリの検索数が多いのかをデバイスごとに比較したものである。このグラフの状況から、西谷氏は「デバイスによって『検索されやすいカテゴリ』というものが存在する。ただし、PC・モバイル・スマートフォンでは、圧倒的にPCの検索ボリュームが大きく、全体のインパクトを踏まえた上で、対策を講じてもらいたい」とアドバイスを贈る。
また、検索連動型広告の出稿の際に気になるポイントが、入札キーワードの選定である。1単語のビッグワードだけでよいのか、複数の単語を組み合わせたスモールワードを多く入札すべきか、頭を悩ませる担当者も多いのではないだろうか。
西谷氏によると、モバイルでは圧倒的に1語で検索される割合が多いが、スマートフォンは2語、3語の複合キーワードで検索される割合が、PCよりも多いという。つまり、スマートフォンユーザーを意識した入札を行う場合は、1語のキーワードだけでは不十分と言えよう。
最後に西谷氏は、検索単語数や検索カテゴリだけでなく、検索が行われる時間帯さえもデバイスごとに異なることを指摘し、「新しいデバイスの対策を検討する際に、正しい情報を元に現状を理解した上で、仮説を持って施策を講じてもらいたい」と、講演を締めくくった。
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