中国からの撤退発表後も、グーグルへの高い支持
アウンコンサルティングは、コムスコア社が提供するネット視聴率データをもとに、2011年3月度の中国検索エンジン利用動向をまとめた。グーグルは、中国政府が要求するウェブの検閲などをめぐって、中国政府と対立していたグーグルは、2010年3月に中国本土からの撤退を発表。「google.cn(中国サイト)」へのアクセスを自動的に「google.com.hk(香港サイト)」へリダイレクトする措置をとった。しかし、現在は中国サイトはサービスを提供しておらず、香港サイトへのリンクが設置されているのみとなっており、自動リダイレクト措置を停止している。
グーグルの検索サービスのユーザー数を、自動リダイレクト措置を開始した2010年3月と2011年3月で比較すると、ユーザー数は16.6%減少。しかし、グーグルが中国撤退を発表した2010年3月に中国サイトのユーザー数がほぼゼロまで落ち込んだ一方で、中国本土から香港サイトへアクセスするユーザー数が大きく伸びていることが明らかになった。
2011年4月の香港サイトからの遷移先の約半数が画像検索やGmailなどに移動しており、グーグルがユーザーから強い支持を受けていることが伺える。しかし、ビデオ検索やニュース検索ではユーザーが減少。特にビデオ検索では、2010年3月から4月にかけて約半数まで落ち込んでいる。
好調な中国大手サービス、厳しさを増すグーグルの状況
グーグルが中国で苦戦する一方、中国資本の検索エンジンは着実にシェアを伸ばしており、中国最大の検索エンジンである「百度(Baidu)」は、2010年3月から2011年3月にかけてユーザー数が約20%増加。中国大手ポータルサイト「捜狐(Sohu)」が運営する検索エンジン「捜狗(Sogou)」も、同じ時期にユーザー数を約2.5倍に増加させている。
これに対して、グーグルの中国における状況はさらに悪化している。今年3月には、中国大手ポータルサイトのひとつ「新浪(Sina)」がグーグルとの提携を解消。また、中国では新たにオンライン地図サービスの運営に政府の許可が必要となるが、グーグルは中国政府に対して運営許可の申請をまだ行っておらず、申請の期日である2011年7月以降は中国でGoogleマップが利用できなくなる可能性もある。
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