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なぜあの商品は売れたのか?北の達人・木下勝寿氏の質問力とマーケター16人の思考に学ぶ【お薦めの書籍】

 トップマーケターはどのようにヒット商品を生み出しているのか? 今回紹介する書籍は、北の達人コーポレーションの木下勝寿氏が、主にEC事業に携わる経営者たち16人の思考に迫った1冊です。独自の質問力で引き出された、実践的な知見が惜しみなく語られています。

トップマーケターを量産するために作られた本

この本は日本にヒット商品やヒットサービスを次々に生み出すトップマーケッターを量産するために作った本である。

 今回は、そんな力強い書き出しから始まる、北の達人コーポレーションの木下勝寿氏の新刊『なぜあの商品、サービスは売れたのか? トップマーケッターたちの思考』(実業之日本社)を紹介します。

画像を説明するテキストなくても可
なぜあの商品、サービスは売れたのか? トップマーケッターたちの思考』木下勝寿(著)、実業之日本社 、1,980円(税込)

 北の達人コーポレーションの木下氏というと、1人で起業し独自のWebマーケティングで東証プライム上場を成し遂げ、時価総額1,000億円企業に導いた人物。Webマーケティングのノウハウ本『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法』(実業之日本社)だけでなく、『時間最短化、成果最大化の法則 ── 1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』(ダイヤモンド社)といった、仕事の効率化をテーマにした著書でも有名です。

 そんな木下氏の新刊は、EC事業を中心とした経営者16人に、木下氏がインタビューした内容をまとめたもの。北の達人コーポレーションのラジオ・YouTube番組『マーケティングキングダム』の配信内容を基にしており、計310ページの大作ではありますが、ラジオを聞いているような感覚でテンポよく読み進められます。

 木下氏の書籍で一貫しているのが、「成果は、スキル×思考アルゴリズム(考え方のクセ)によって生み出される。だから、成功者の行動と思考力をインストールするのが大事」という持論です。本書でも、16人のマーケターたちの思考力を読者がインストールできるように考えられています。

登場する16人

  • I-ne 執行役員CSO 伊藤翔哉氏「YOLU」
  • バルクオム 代表取締役CEO 野口卓也氏「BULK HOMME」
  • DINETTE 代表取締役CEO 尾﨑美紀氏「PHOEBE BEAUTY UP」
  • レバレッジ 代表取締役社長 只石昌幸氏「VALX」
  • Kyogoku 代表取締役 京極琉氏「KYOGOKU」
  • ファクトリエ 代表 山田敏夫氏「Factelier」
  • 日本EC協会 代表理事 福島亮氏
  • TELESA 代表取締役 車谷セナ氏「TELESA」
  • イルミルド 代表取締役社長 西俊彦氏「ALLNA ORGANIC」
  • ビビッドガーデン 代表取締役社長 秋元里奈氏「食べチョク」
  • ファーマフーズ 専務取締役 益田和二行氏「ニューモ」
  • ジェイフロンティア 代表取締役社長執行役員 中村篤弘氏「SOKUYAKU」
  • 大都 代表取締役社長 山田岳人氏「トラノテ」
  • ポーラ 代表取締役社長 小林琢磨氏「ORBIS」
  • 売れるネット広告社 代表取締役社長CEO 加藤公一レオ氏
  • アルマ・クリエイション 代表取締役 神田昌典氏

木下氏の“質問”にも学びがある

 インタビュイーはブランド誕生や商品開発の経緯、自社のマーケティング戦略を語ります。注目したいのは、インタビュアーである木下氏の“質問力”です。

 たとえば、プロテインブランド「VALX」を展開するレバレッジの代表取締役社長・只石昌幸氏の回で、販売チャネルと集客方法を聞く木下氏。1ページ内で矢継ぎ早に5つの質問をしています。

  • 販売のチャネルはどのような売上比率になっていますか?
  • その中で一番利益率が高いのはどれですか?
  • 自社サイトへの集客だと広告費がかかりませんか?
  • 売上比率でAmazonが一番ということですが、競争は激しいのでは?
  • Amazonなどのモールで知る人が多いのか、それともYouTubeをはじめとしたSNSで知る人が多いのかでいったらどちらですか?
(p.87)

 木下氏の質問は、D2Cのマーケターが持つべき観点ともいえるでしょう。これらの質問を俯瞰して自分の中に落とし込むことで、本書はより有益な情報源になります。

経営者のお悩み相談も

 巻末には木下氏が逆質問を受けるコーナーがあり、北の達人コーポレーションで実践しているノウハウも踏まえながら悩みに答えています。

 たとえば、『バチェロレッテ・ジャパン』への出演で注目を集めた尾﨑美紀氏は、「再現性のある売れる商品の作り方」について相談。それに対し木下氏は、発売前の段階でお客様アンケートを取り、確認することを徹底していると語ります。

尾崎 それって、自由記述を見ればほぼ確実に買ってもらえるだろうなっていうのがわかってくるんですか?

木下 なんとなくなんですけど、わかってきます。大きな括りとして、買いたいと思った理由を「自分理由」と「商品理由」に分けるんですね。「自分理由」は私は何々だからこの商品が欲しいという自分起点、「商品理由」は、この商品はこうこうこうだから欲しいという商品起点になっていて、本当に買うかどうかの信憑性があるのは「自分理由」なんですよ。

(p.299~300)

 このコーナーでは他にも、リーダーの役割、マネジメントクラスの採用に関する考え方、マーケティングチームの内製化など、経営者が悩みがちなトピックに答えています。
答えています。

 驚いたのは、登場人物の数人は本書と関係なくサービス立ち上げ時や何かしらのタイミングで、木下氏に相談したいと打診し、それに対し木下氏が機会を設けていることです。わからなければ憶さず人に聞く、そして困っている人には手を差し伸べる。そういった人間としての基本的な部分も、成果を出すことにつながっていくのだと感じました。

 本書からは、そういったビジネスパーソンとしての姿勢を含めて、自身のビジネスに活かすヒントを得られるはずです。

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この記事の著者

竹上 久恵(編集部)(タケガミ ヒサエ)

早稲田大学文化構想学部を卒業後、シニア女性向けに出版・通信販売を行う事業会社に入社。雑誌とWebコンテンツの企画と編集を経験。2024年翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/02/21 08:00 https://markezine.jp/article/detail/48400

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