SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめのセミナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第111号(2025年3月号)
特集「CES 2025より テクノロジーで変わる社会、広告、マーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2025 Spring

「賭博」「たばこ」「不健康」麻雀のパーセプションを変えたMリーグにブランディングのヒントを学ぶ

 「賭博」「不健康」などのイメージが強かった麻雀を「老若男女が楽しめる頭脳スポーツ」に変えるべく、2018年に立ち上がったMリーグ。チェアマンの藤田晋氏を中心に戦略的なブランディングを推進してきた結果、ABEMAの麻雀チャンネルでは試合の視聴数が100万を超えることもあり、大手企業からの協賛やチームとしての参入を希望する声も増えています。MarkeZine Day 2025 Springには、Mリーグの発足から携わる塚本泰隆氏が登壇し、様々な切り口でMリーグの成長要因を語りました。本稿ではその内容をレポートします。

若年層の視聴者が約半数を占める

 2018年7月に発足し、今年で7季目を迎えるMリーグ。クラブチームと契約を結んだMリーガー(プロ麻雀選手)によるチーム戦の様子は、ABEMAの麻雀チャンネルで配信されている。

登壇者の資料より
登壇者の資料より

 「立ち上げ当初は1チーム3名制でスタートし、試合数も定まっていなかった」と語るのは、Mリーグの発足から携わるサイバーエージェントの塚本泰隆氏だ。ユーザーの視聴習慣を作るにあたり、最適な開始時間と試合数を模索し、ルールやレギュレーションの調整にも試行錯誤したという。

サイバーエージェント AbemaTV編成統括本部 スポーツエンタメ局 局長 塚本泰隆氏
サイバーエージェント AbemaTV編成統括本部 スポーツエンタメ局 局長 塚本泰隆氏

 試行錯誤の結果、チームの編成を現在の「男女混成4名」に変更。加えて、年間チャンピオンを決めるシーズン形式に変わったほか「プロ野球のナイター中継を家庭で観る文化」に倣い、レギュラーシーズンを9月から、セミファイナルを3月からスタートするスケジュールとした。

 これらの工夫が功を奏し、シーズン平均視聴数は毎年右肩上がりに推移。2024年度の視聴数は、初年度(2018年度)の3倍に上るというから驚きだ。

 34歳以下の若年層が視聴者の約半数を占めるMリーグ。そのうち19歳以下が約20%を占めるが、視聴者数が特に増加している層は20~34歳の層だ。視聴者の比率を見ると、麻雀が幅広い世代に浸透していることが読み取れる。

発足時に打ち出した「ゼロギャンブル宣言」

 なぜMリーグはこれほど盛り上がりを見せているのだろうか。塚本氏は成長要因を四つに分けて解説する。第一の成長要因は「パーセプションチェンジ」だ。

 Mリーグを盛り上げるためには、麻雀に対する世間の認識を変える必要があった。塚本氏が学生時代に麻雀プロとして活動していた時代、麻雀はネガティブな言葉とともに語られていた。

 一方で、麻雀の奥深いゲーム性に魅了される人も少なくない。近年では「集中力の向上」や「論理的思考の鍛錬」など、麻雀に期待できる効果の研究が進み、高齢者の脳の活性化に麻雀が役立つとするデータも出始めているという。

 そこで塚本氏は、熱のこもった実況解説でMリーグの試合を演出し「麻雀は高度なプロ頭脳スポーツである」というイメージの醸成を図った。加えて、リーグ発足時には「ゼロギャンブル宣言」を打ち出し、違法賭博との決別をアピール。小学生を対象とした麻雀大会を主催するなど、健全な麻雀環境の構築を進めている。

「子供の習い事として麻雀が選ばれたり、歴史のあるスポーツ雑誌でMリーグの特集が組まれたり、麻雀に対する認識や麻雀を取り巻く環境は大いに変化しています。パーセプションを変えない限り、新しいプレイヤーや企業の参入は期待できませんでした」(塚本氏)

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
    ※プレミアム記事(有料)は除く
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
男女混合のチーム編成を必須としたワケ

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
MarkeZine Day 2025 Spring連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

古田島 大介(コタジマ ダイスケ)

 1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、エンタメ、カルチャー、web3、NFTなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/04/15 07:30 https://markezine.jp/article/detail/48560

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング