ASIMOの動画視聴データで如実に表れたユーザーの関心
Brightcove Video Cloudによってもたらされたものは、ほかにもある。それは動画視聴のデータを取得できるようになったことだ。
例えばホンダの場合、11月に人型ロボット「ASIMO」の新型を発表。ASIMOの新機能を解説する動画をサイトに掲載したところ、ユーザーの興味関心を端的に把握することができた。
というのも、新型ASIMOの「時速9キロで走る」「サッカーボールを蹴る」といった機能を紹介する20秒程度の動画完聴率は、それぞれ90%超。「一般的なテレビCMの動画でここまで最後まで見てくれるのは非常に稀」(深山氏)であることを考えると、それだけASIMOの「走る」「蹴る」機能が注目されていると分かる。
「いろいろな機能を紹介する中で、どういう要素にお客様の関心が寄せられているのか、数字から分かるようになりました。
今後は、動画視聴に関するデータを分析・検証することで、PDCAサイクルを回せるようにしていきたいと考えています。動画視聴から離脱されるタイミングを分析することで、動画を最後まで見てもらうためのノウハウを蓄積できるはずですから」(深山氏)
サイトごとに必要だったエンコード費用を削減。その分をコンテンツの充実に回したい
動画のエンコードから配信までを一元管理できるように変えたことで、まずは業務の効率化を達成できたと深山氏。今後はそれによって浮いた予算・時間を新たなコンテンツ制作に割り当てることで、ホンダのサイト全体で集客力を伸ばしていきたいと考えている。
「ホンダには、ゴルファー向けの情報サイト『Honda GOLF』のようなサイトもあります。ゴルフの魅力を伝えることで多くの人が移動に使う、自動車への関心につなげてもらうためのサイトです。そちらでもゴルフレッスンなどの動画を独自に作成しています。
従来は、そういったサイトが各自で動画エンコードの料金を支払っていました。ホンダの運営するサイト全体でBrightcove Video Cloudを活用していくことで、エンコードに掛かっていた費用の無駄を削り、コンテンツを増やすために力を割いていきたいと考えています」(深山氏)
Brightcove Video Cloudにはまだほかの機能もある。一例を挙げると、動画が流れる中で、特定のタイミングで動画の脇にある情報を表示、クリックしたら別ページに遷移させることができる。CMなら、タレントが登場したところでプロフィールページへのリンクを、音楽が流れ始めたところでアーティストページへのリンクを動画脇に表示する、といった仕掛けが可能なのだ。
「ECサイトにおける動画活用の成功事例として伺った話ですが、ECサイト以外でもうまく活用できると感じています。やれるはずですし、やってみたいところですね。次はただ動画を見せるだけではなく、『見せること+α』のところにチャレンジしていきたいです」と深山氏。ホンダの動画活用は、今後ますます進化していきそうだ。