ただスマフォ対応するだけでは手間が増える。効率的な運用体制を築くには
スマフォ向けに動画配信を最適化する。言うのは簡単だが、実現方法をよく考えておかないと、運用の手間が増えてしまう。
リニューアル前のホンダの場合、PCではFlash形式で動画を配信。フィーチャーフォン向けにはASP型の外部サービスを使い、携帯端末ごとに最適化して配信するようにしていた。
「PCとフィーチャーフォン用にそれぞれ動画を作成していたわけですが、エンコード等の作業を2本分並行して走らせていました。そこにただスマフォ用の動画を追加しては、2本分の手間が3本分に増え、運用が非効率になってしまいます。どうにかしてワンストップで、効率的に動画配信できる体制を作れないか。将来に向けて考えていく必要があると思っていました」(深山氏)
それがBrightcove Video Cloudを入れたことで、動画を一元管理できるようになった。それぞれのデバイス向けに動画を用意しなくても、オリジナルの動画を1本アップしさえすれば、それで作業は完了。あとは自動でエンコードを済ませ、配信先のデバイス環境に応じて最適化して動画配信してくれる。
さらに、動画活用の自由度も増した。以前は「このページにもサイズを変えて同じ動画を載せたい」と思った時には、サイズを指定して別途エンコードの作業を業者に依頼する必要があった。Brightcove Video Cloudの導入後は、業者への依頼が不要に。タグを発行して埋め込むことで、好きなページに好きなように動画を載せられるようになった。
しかも、著作権が絡むCMなどの動画を管理する手間も削減できた。CM素材は出演しているタレントや、使用している楽曲の権利の関係から利用できる期間が限定されている。
複数のページで利用していると、「期間までにどのページと、どのページで掲載を落とす必要がある」と管理が手間になる。それが一元化することによって元になる動画ファイルの設定を変えれば、すぐに動画配信を止められるようになった。
利用者数はまだ少なくとも、スマフォ経由の動画視聴は半数近く
Brightcove Video Cloudを導入することで、動画配信・管理に関する懸念事項は解決できた。それ以外に、サイト全体のPV数が増加する効果もあったと深山氏は振り返る。
「リニューアル直後にアクセス数が伸びるのは当然ですが、リニューアル効果が落ち着いた後も以前より高い水準で安定しています。特に動画のためにプロモーションしていたわけではありませんでしたから、スマフォ対応による変化でしょう。明確な効果があったことが分かります」(深山氏)
なぜスマフォ対応することで、そこまでPV数が増えたのだろうか。
これはホンダのデータになるが、ホンダのモバイルサイトを訪問するスマフォユーザーの比率は10%弱。しかし、スマフォユーザーは動画コンテンツと親和性が高いようで、モバイルでの動画コンテンツ接触者のデバイス別比率で見ると、なんと全体の40%強にまで跳ね上がっている。
これまで再生できていなかった動画コンテンツをスマフォから視聴できるようにするだけで、PV数が増える。十分にその根拠となるデータと言えるだろう。